次回の上映会は11月16日(土)。市岡康子さんを迎えて『クラ――西太平洋の遠洋航海者たち』と『女の島 トロブリアンド』の二本立てです

地平線キネマ倶楽部 第4回上映会

★地平線通信546号(2024年10月9日発行)より転載(筆者:丸山純)

第4回目の「地平線キネマ倶楽部」は、11月16日(土)の13時より、いつもの新宿歴史博物館で開催します。上映するのは『クラ―西太平洋の遠洋航海者たち』(1971)と『女の島 トロブリアンド』(1976)の2本。どちらもTVドキュメンタリー界の草分けとして知られる名プロデューサー・牛山純一さんが率いた「日本映像記録センター(映像記録)」の作品です。

今回は、この2作品でディレクターをつとめた市岡康子さんにおいでいただき、このテーマを撮ろうと思い立ったきっかけや現地での取材・撮影の裏話、この作品の意義などについて語っていただきます。

市岡さんは日本テレビに入社後、『ノンフィクション劇場』『20世紀アワー』などのドキュメンタリー番組を手がけ、1966年から90年まで『すばらしい世界旅行』のプロデューサー&ディレクターとして活躍されました。1972年に日本映像記録センターの設立にも参加し、アジア・太平洋地域を主なフィールドとして、この地域で暮らす諸民族の生活と伝統文化を映像で記録し続けてきました。

じつは地平線会議の創設期に、年報『地平線から』の出版を記念する大集会で牛山さんにお話しいただき、古いドキュメンタリー映画や映像記録センターの作品を上映したことがあります。このとき映像人類学の傑作と名高い『クラ』も上映されたのですが、裏方として走り回っていた私はじっくり観ることができず、残念でなりませんでした。マリノフスキーの名著『西太平洋の遠洋航海者』(1922)はすでに読んでいましたが、その特異な交易文化のシステムがいまもなお伝承され、美しい映像でいきいきと描かれていることに素直に感動しました。その憧れの作品をこうして上映する機会ができて、とてもうれしく思います。

『クラ』の舞台は完全に男の世界ですが、じつはトロブリアンド島は母系社会です。『女の島』を観ることで、男たちの遠洋航海を支える村の豊かさや、ヤム芋の贈与で人々の結びつきが強まる仕組みが見えてきます。どうぞお楽しみに!(丸山純)

地平線キネマ倶楽部 第4回上映会
日時:2024年11月16日(土)
   12:40開場・13:00開演・16:30終了
会場:新宿歴史博物館 2F 講堂
   東京都新宿区四谷三栄町12-16
参加費(資料代):1,000円
上映作品:『クラ――西太平洋の遠洋航海者たち』(66分)
     『女の島 トロブリアンド』(50分)
作品解説・トーク:市岡康子さん

地平線キネマ倶楽部
https://chiheisen.net/cinema-club/

この記事を書いた人

地平線キネマ倶楽部事務局。デジタルエディター。北部パキスタン文化研究者

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