次回の上映会は11月16日(土)。市岡康子さんを迎えて『クラ――西太平洋の遠洋航海者たち』と『女の島 トロブリアンド』の二本立てです

3回目のキネマ倶楽部は6月1日、『馬ありて』を上映します

★地平線通信541号(2024年5月15日発行)より転載(筆者:丸山純)

■1月の『ガザ 素顔の日常』、3月の『おらが村のツチノコ騒動記』に続いて、3回目の「地平線キネマ倶楽部」は、笹谷遼平監督の『馬ありて』(2019)を上映します。6月1日(土)の午後2時から。会場はいつもの新宿歴史博物館です。

◆私が笹谷さんと初めて出会ったのは今年の1月30日、宮本常一先生の門下生や関係者が集う「水仙忌」の会場でした。『馬ありて』という作品名は聞いたことがあったものの、残念ながら劇場で観る機会がありませんでした。でも、その場でぜひキネマ倶楽部で上映させてくださいと申し出たのは、自己紹介がてら触れた新藤兼人監督の『裸の島』を、「日本映画で最も気に入っている作品のひとつです!」と笹谷さんが熱く共感してくれたからです。

◆地平線ではあまり語っていませんが、私の父(丸山国衛)は映画の録音技師で、新藤作品に何作か参加しています。『裸の島』(1960)は、瀬戸内海に浮かぶ水のない小さな孤島で畑を耕して暮らす夫婦(殿山泰司と乙羽信子)の営みを淡々と描いたモノクローム作品で、台詞のまったくない映像詩として各方面に大きなインパクトを与え、モスクワ映画祭など数々の賞に輝きました。

◆『裸の島』は劇映画ですが、その影響を受けた監督が作るドキュメンタリー作品とは、どんな映像なのだろう。後日、笹谷さんからDVDを借りて『馬ありて』を観ましたが、リアルな記録映画の手法を採りながらも、監督の思いはまた別のところにあるようで、不思議な感覚に陥りました。ともかく、陰影に富んだモノクロームの映像美が素晴らしい。6月1日、歴博の大きなスクリーンで観ることができるのは、得難い体験になるでしょう。上映後のトークで、この作品の狙いや完成までの経緯を語っていただけるのも楽しみです。

◆今回の上映に向けて、キネマ倶楽部のウェブサイト(https://chiheisen.net/cinema-club/)を作りました。まだコンテンツは少ないのですが、今後はこの地平線通信と連携しながら、作品の魅力や映画の面白さを伝えていきたいと思います。問い合わせなどもこちらにお願いします。[丸山純]
 
『馬ありて』(笹谷遼平監督)
 日時:2024年6月1日(土) ※5月の地平線報告会の翌日です
    13時40分開場 14時開演
 会場:新宿歴史博物館 2F 講堂
    〒160-0008 東京都新宿区四谷三栄町12-16
    https://www.regasu-shinjuku.or.jp/rekihaku/
 参加費(資料代):1,000円
 (地平線会議の関係者でなくてもご参加いただけます)

この記事を書いた人

地平線キネマ倶楽部事務局。デジタルエディター。北部パキスタン文化研究者

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