■Part 1…[写真展・地平線発]の概要と実施コンセプト |
「写真展・地平線発――21世紀の旅人たちへ」のコンセプトは、個の旅人が、持ち帰った地球の1シーン1シーンを特に作為を加えずそのまま展示し、旅人たちがとらえた地球の状況を見ていただくところにあります。
この試みに関心をもっていただけた方々に理解してほしいのは、まずこの企画が地平線会議というネットワークだからこそ生まれたものだ、ということです。私たちは、単に地球のあちこちの写真をそろえたのではありません。参加してくれたひとりひとりが、何かを感じてシャッターを押した、その「何か」を感じ取っていただきたい、と考えます。
出展者のなかには、ひとりで写真展を開いてきたプロもいるし、ごくふつうの旅人もいます。そういう、生き方も感性も異にする人々の目がとらえた世界、という点がこの写真展の命です。1枚の写真の背後にある行動者たちの生きざまを見ていただくことで、より深い理解と感動が生まれることでしょう。
そして、そういう作品群を、とりわけ、中・高校生たちに見てほしい、と思います。世界に踏み出そうとする若い心のどこかに、「地平線発」の風景がとどまってくれれば、何よりもうれしいのです。
「写真展・地平線発――21世紀の旅人たちへ」は、明日に向けた試みです。そのためには、展示のスタイル、場所なども、従来の枠にとらわれない、思い切った試みがあってもいいのではないでしょうか。写真展の開催自体がひとつの冒険なのだ、と思います。
「写真展・地平線発――21世紀の旅人たちへ」に多くの方が関心を示してくださり、自分のところでも開催してみたいのだがという声が予想以上にたくさん集まって、たいへんうれしく思います。この写真展の趣旨にご賛同いただけたら、ぜひあなたの近くでの開催に向けて、ご協力、ご尽力いただけませんか。私たちは、ただただ、この素晴らしい写真展を1ヵ所でも多く開催し、見てくれる人の輪を広げたいのです。
手づくりのささやかな展示であっても、それなりにお金はかかってしまいます。まず、資金をどう確保するかが課題となりますが、いくつかの団体で共催するとか、スポンサー探しをするとか、いろいろ解決法が考えられます。会場が狭い場合は展示点数を調節したり、自分たちで企画から施工までやっていただけると、費用もずいぶん節約できるかもしれません。マスコミへの働きかけなどによって多くの入場者が見込める場合は、会場費の一部などは入場料収入であるていどはまかなえるでしょうし、協賛なども得られやすくなるでしょう。講演会やシンポジウムをあわせて開催することも可能です。
実際に写真展の開催に至るまでのこうしたさまざまな作業に、興味とやりがいを感じる方が何人かそろえば、道は必ず開けてくると思います。この機会に、地平線会議の仲間となってくださる方が増え、ネットワークが広がっていくのでしたら、大歓迎です。地平線会議としても、できるだけの協力をいたします。ご自身で動けなくとも、こういうところが関心をもってくれそうだ、などと教えてくださるだけでも助かります。
全229点の作品を目の前にすれば、やってよかったという、大きな手応えと感動が生まれてくると思います。どんな形での企画でもかまいません。私たちと、まずコンタクトをとってみていただけませんか。きっとおもしろい展開が待っているはずです。
【地平線のメンバーならではの視点】
[写真展・地平線発]は、39名の行動者によって世界各国で撮影されてきた全229点の作品を展示する、大規模な写真展です。レンズを見つめる子どもたちの笑顔や、生命のかけらさえもない圧倒的な大自然、そしてさりげない街角の風景まで、やっぱり地球は広大で、さまざまな暮らしがあることをひしひしと感じさせられることでしょう。地平線会議の同人ならではの個性あふれる視点が、どの写真にも息づいています。
【出展者】
江本嘉伸・惠谷治・岡村隆・街道憲久・樫田秀樹・賀曽利隆・金井重・神長幹雄・河田真智子・北村節子・久島弘・九里徳泰・熊沢正子・向後紀代美・向後元彦・白根全・関野吉晴・高野孝子・滝野沢優子・近山雅人・戸高雅史・長倉洋海・永瀬忠志・長野亮之介・中畑朋子・中村保・埜口保男・松原尚之・松本栄一・丸山純・三輪主彦・桃井和馬・森田靖郎・山田高司・吉岡嶺二・吉川謙二・吉田敏浩・渡辺京子・渡辺久樹(詳しくはAppendix 2参照)
【撮影地】
アフガニスタン/イラク/イラン/インド/インドネシア/オマーン/カンボジア/スリランカ/中国/北朝鮮/トルコ/日本/ネパール/パキスタン/バングラデシュ/フィリピン/ブータン/ベトナム/マレーシア/ミャンマー/モルディブ/モンゴル/ラオス/オーストラリア/キリバス/パプアニューギニア/フィジー/マーシャル/ミクロネシア/アルジェリア/ブリキナファソ/ガーナ/ケニア/ザイール/スーダン/チャド/ナイジェリア/ニジェール/マダガスカル/マラウイ/マリ/アルバニア/ギリシャ/ドイツ/ノルウェー/フランス/ポーランド/クロアチア/スロベニア/ウクライナ/グルジア/ロシア/アメリカ/カナダ/キューバ/グアテマラ/コスタリカ/パナマ/メキシコ/アルゼンチン/エクアドル/コロンビア/チリ/ブラジル/ベネズエラ/ペルー/ボリビア/北極/南極
【額装された作品とパネル類】
作品はほとんどがきちんと額装され(前面ガラス入り・一部はパネル)、布地に印刷した巨大なタペストリーも混じっています。サイズと点数は以下の通り。複数の作品を1枚の額に収めたものも何点かあります。各作品には、出展者本人によるキャプション(解説)が付き、撮影日や撮影地も記されています。このほか、出展者のプロフィール紹介や撮影地一覧地図、地平線会議の活動紹介などの補助パネルも用意しています。
A. スチール全紙(575×760mm)…44点
B. スチール半切(455×580mm)…94点
C. スチール四つ切(350×430mm)…2点
D. スチール八つ切(242×303mm)…4点
E. 全倍パネル(600×900mm)…5点
F. 木特製八角(700×800mm)…1点
G. 木特製梯子タイプ(405×2030mm)…1点
H. 木特製B2(500×700mm)…6点
I. 木特製全紙(630×810mm)…19点
J. 木特製半切(480×600mm)…12点
K. 木特製四つ切(374×450mm)…6点
L. 木特製2点セット半切(379×576mm)…1点
M. 木特製ポジベタ(420×470mm)…1点
N. 木特製六つ切(305×396mm)…13点
O. アクリル特製半切(356×432mm)…1点
P. 布大判デジタル出力(タペストリー)(2000×3000mm)…2点
各作品のキャプションパネル(全作品共通・60×150mm)…212点
写真展開催にあたってのメッセージパネル(730×515mm)…1点
出展者プロフィール紹介パネル(1030×728mm)…2点
撮影地一覧世界地図(700×1000mm)…1点
地平線会議紹介パネル(000×000mm)…1点(現在制作中)
※作品や大型パネル類はすべて釘で壁面に美術用のフックを取り付け、そこに掛けるかたちで固定します。キャプションパネルは釘を2ヵ所に打って壁に直接固定。タペストリーはハトメ穴からテグスなどを張って掲げることになります。
【全作品を収録したB6サイズのカタログ】
来場者に配布・販売していただけるよう、出展された229点の全作品を収録したカタログ(オールカラーの写真集・B6サイズ・全156ページ)を用意しています(協力:凸版印刷株式会社)。キャプション(撮影日・撮影地・作品サイズ)や出展者の経歴なども収録。写真展の会場以外では、希望者に500円でお分けしていますが、内容の充実ぶりはもちろん、高精細な美しい印刷に、安すぎるという声も数多く寄せられています。
【地平線会議が刊行している出版物】
写真展に来て地平線会議に関心を持ったり、地方にいてなかなか入手できなかった来場者のために、地平線会議が刊行している書籍を展示・販売していただきたいと思います。写真を見るだけでは知ることができない地平線会議の活動や、各個人の行動歴、考え方などが紹介されています。写真展の会場で「地平線会議とはなにか」が伝わらないと、“ただ単に海外の珍しい写真を集めて見せただけ”に終わってしまいかねません。どうか、[写真展・地平線発]の趣旨をじゅうぶんご理解いただき、地平線会議の本の紹介・販売に積極的にご協力ください。
『地平線の旅人たち』(地平線会議編・窓社刊)
年報『地平線から』1983/vol.6/vol.8(地平線会議刊)
『地平線データブック・DAS…1988〜1995』(地平線会議刊)
【それぞれが工夫を凝らした写真展を】
[写真展・地平線発]は、皮切りとなった東京のO美術館での展示のような大規模なのものから、第3弾として実施した横浜のパン屋さんの展示のようなささやかなものまで、さまざまなスタイルが考えられます。これから少しずつノウハウを積み重ねていけば、あっと驚くような、いかにも地平線会議らしいユニークな写真展が実現できるかもしれません。講演会やシンポジウムなど、他のイベントとの連携もおもしろい。
私たちがいちばん危惧しているのは、繰り返しになりますが、“ただ単に海外の珍しい写真を集めて見せただけ”に終わってしまうことです。ですから、企画としての位置づけや訴求対象が、それぞれの写真展で異なっていて当然でしょう。その土地ならではの味を活かした、個性あふれる[写真展・地平線発]が数多く実施できたらいいなと思っています。
【大規模なものから手作りまで】
たとえば県立美術館などを借り切り、広く不特定多数に呼びかけていくような企画では、大きなイベントとなるのは当たり前で、費用もかさみます。中核となる実施母体を作り、プロジェクトとして運営していく覚悟が必要でしょう。会場をどう押さえるかがポイントになりますし、地元のマスコミなどと連携した広報宣伝活動も重要になってきます。会場にふさわしい展示ができるような資金の確保が、大きな課題となるかもしれません。しかし、こういうイベントは「やった!」という段違いに大きな手応えがありますし、なによりも、これまで地平線会議や地球体験に縁のなかった一般の人たちを巻き込んでいくおもしろさがあります。
小さな会場でささやかに手作りで実施するものは、地元のネットワークと連携し、草の根の運動として実現していくことになるでしょう。費用を最小限に押さえるために、施工や展示をどこまで自前でやれるかがポイントとなりますが、かえって地平線会議らしさを打ち出しやすいかもしれません。複数の団体が主催者を引き受けて資金を分担したり、あるいはいくつかの会場を持ち回りで実施するようにすれば、経費を抑えることもできそうです。口コミやネットワーク通信などを使った地道な呼びかけが、成功のポイントとなることでしょう。来場者数は少なくても、会場で一人ひとりに深い体験をしてもらうことで、意義深い展示になると思います。
【なるべく期待に添えるような方向で】
当初からまずO美術館での開催をめざしてきたので、小さな会場での実施については、まだじゅうぶんノウハウがありません。現段階では、小回りの利いた対応ができないかもしれませんが、なんとかしてみなさんの期待に添えるような方向で努力していきたいと思っています。ご理解とご支援をお願いします。
【あくまでも地平線会議の写真展を】
全国でさまざまなスタイルの[写真展・地平線発]が開催されていくのは大歓迎なのですが、個性を発揮しようとするあまり、本来のコンセプトからはずれてしまっても困ります。あくまでも「地平線会議の写真展」であるというスタンスは、崩してほしくありません。以下、最低限これだけは考慮してほしいというポイントを、コンセプト面、実施面、展示面に分けて列挙してみます。
【コンセプト面】
【実施面】
【展示面】
【東京の実行委員会とのパートナーシップを】
企画を進めるにあたっては、東京の実行委員会とうまくパートナーシップをとってくださいますよう、お願いします。こちらとしては、できれば共催者として参加させていただければ、写真展の位置づけもよりはっきりし、各方面にもアピールしていきやすいのではないかと思っています。ただし、どうしてもむずかしいという場合は、ケース・バイ・ケースで処理していきたいと考えます。