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『地平線通信』25年、300号、おめでとうございます。すごいですね。よくも『報告会』を開催しつづけ、『通信』を出しつづけてくださったものです。1回でもしんどいのに、10回でも止めたくなるのに、開催しつづけ、出しつづけて、営みとし、場としていった人たちの責任感と意志とチームワークに、あらためて敬意を表します。ほんとにたいしたものです。
●もちろん、それを可能にしたのは、その試みを楽しみ、支える人たちがいたからですが、なぜそれが得られたのでしょう。まず「地平線」というのが的を得ていたんだなと思います。地平線って相対的なものなんですよね。前に進めばもう少し先の地平線が見え、高く登ればそれだけ遠くに地平線が広がる。視点はあくまで現在の自分。地平線はあくまで自分にとってのものなのです。運動会でビリを争う仲間だった私がかつて山登りに爆発的な喜びを発見したのも、山登りが自然という絶対的な環境を相手に、現在の自分を基準にしてより大きな肉体的自由を得ようとする行動だったからでした。最終的には他の人との勝ち負けや世間の評価や合格ラインが問題なのではない。
●この、自分自分の立場で、体を動かしながら、ひとりひとりが体験し、感じ、考えていくっていうのは忘れたくない原則ですよね。というか、それしか方法を思いつかない。
●現代は論理が世界を支配している時代です。論理が大変強力で有用な手段だからです。けれども、論理は言葉に翻訳して組み立てるから、間違いやインチキを一杯抱え込んでいて、言っている本人も簡単に騙される。そして人間は原理主義的な考え方にすがりつく。両方が結びつくとやっかいですよね。社会主義の失敗も、テロリズムとかブッシュの戦争とかの背景にあるものも、まさにこれですから。
●そうでなくても、ぼくらは「田舎者」になりやすい。「田舎者」というのは田舎に住んでる人という意味ではないですよ、もちろん。世界を知らないくせに自分たちだけが世界だと思い込み、その他の人は「野蛮人」だとか「田舎者」だとか思い込んでいる人たちのことです。普通はそれでもちっともかまわないんですが、みんながそうでは困る。とくに日本国政府とか、アメリカのような大国が「田舎者」になりがちなので危険なのです。さいわい日本国の場合は原理主義的な思考体系も論理も身についていませんから、先般の自己責任糾弾のように論者の恥を世界にさらすだけで済みますが、某大国となると世界をそっちに引きずり込んでしまうからやっかいですね。
●そうした罠から自分たちの世界を救うためには、庶民のひとりひとりがそれぞれの地平線を見て追っかけるところから始める他ないんじゃないかと思うわけです。体を動かして。体を動かさないと体験にならず、体験しないと考えない。体験して考えないと自分の哲学の土台ができない。というと大げさですが、たとえば世の中には違う世界があり、違う人たちがいることを知っており、しかもその人たちも人間であることを感覚的に知っているということです。さらに、自分が知っているのは世界のほんのわずかの部分でしかないと感じているというようなことですね。当然人が違えば地平線も違い、発見の内容も違ってくる。だから面白いし教えられる。地平線にはマニュアルや教義や押しつけはなく、あるのは正直な体験談だけ。
●「地平線」の分かりやすさに比べると「会議」の方は少々ピントはずれでした。会やクラブのように内外の区別があったり、事業をしたりする団体のイメージを避け、単に場だけ用意しておきたいというみなさんの意向は表現できているのですが、別に「会議」をしたかった訳でもないからです。「場」だから利用するとき入場料は払うけれども会費はない。といっても活動を維持してきた人たちは相当自腹を切らざるを得なかったろうと思います。
●しかし、なんといっても世話役を引き受けてくれた方々の魅力と姿勢でしょうね、長い間変わらぬ支持を集めてきた最大の要因は。謙虚ですばらしい人たちです。ありがとうございました。[宮本千晴]
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さて、かねてから予告のとおり、25年間欠かさず続いてきた報告会と地平線通信の300回・300号を記念して、「地平線会議300か月記念フォーラム」を11/7、牛込箪笥区民ホールで開催します。
第1回報告会が開かれた1979年は、スリーマイル島原発事故、NECのパソコン「PC-8001」、東名日本坂トンネル火災、そして金八先生。この頃、私はまだ小学生で、駄菓子屋に入り浸っていました。そしていま、そんな世代とともに、その頃にはまだ生まれてもいない世代が、経済・社会・地域の主役となってきています。
私たちが関心を寄せる冒険的な数々の行動者もしかり。ただ、そこは世の流れ、未踏峰や未探検の辺境は、諸先輩方の努力のせいでもはやほとんど残っておらず、地理上のフロンティアは消滅しつつある。そのフロンティアを新しい価値観、新しい方法論で拓いていかねばならない時代になっていることを強く感じます。
11/7は、そうしたいまの時代の旅人たちを元気づけるようなイベントにしたい、と考えて「その先の地平線」をテーマとしました。このフォーラムをきっかけに、第二の植村直己が巣立ち、新しい時代の宮本常一が現れるような、そんなフロンティアスピリットに満ちたイベントにできればいいと思っています。みなさん、11/7にお会いしましょう![実行委員長 落合大祐]
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◆大集会開催に先立って、前夜祭「地平線通信全記録『大雲海』発刊記念集会」を行います。場所は改装なったアジア会館。かつて報告会の後に食堂を借りてビールを飲みながらバングラカレーをつまみ、数々の冒険の裏話に花を咲かせた、あのアジア会館です。
◆前半は「作戦会議・地平線会議大脱出」。96年の神戸集会をきっかけに、伊南村、出羽庄内、四万十、大阪など各地で報告会が開かれ、地平線会議は全国各地に飛び出すようになってきています。今回の大集会のために全国各地から集まってくれた地平線同人を中心に、次はどこで開こうか、思いを馳せる「作戦会議」です。
◆そして後半は「地平線大オークション」。地平線会議を創設した6人の紹介に続き、伝説のオークショニア、恵谷治・岡村隆により、地平線の主要メンバーが世界各地から集めた名品、奇品、珍品の数々がオークションにかけられる予定です。11/7大集会で売り出せされる予定の地平線通信全記録『大雲海』も、この前夜祭で披露される予定。見逃せません!
■日時:11/6(土)17:00〜21:00
■場所:アジア会館内 レストラン富士
(地下鉄銀座線・半蔵門線・大江戸線 青山一丁目駅 徒歩5分)
■会費:4000円
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▼イントロダクション 寄せ太鼓 地平線・品行方正楽団(長野亮之介・大西夏奈子・長岡竜介・白根全) |
▼part 1. オープニング 寸劇もどき・地平線ミラクルマジックショー 代表世話人の江本嘉伸、地平線学教授を自称する三輪主彦、彼らの頭脳には果たして何が詰まっているのか!? 繰り広げられる宿命のバトル! 300か月にわたって積み重ねられてきた地平線会議の秘密が、いま明かされる! |
▼part 2. その先の旅人たち 1. 熱気球太平洋漂流記 石川直樹 2004年1月、神田道夫さんの熱気球「天の川2号」に同乗して太平洋横断をめざした石川青年。予想外の降雪で重くなった気球が高度を保てず1600キロ離れた太平洋上で着水、一時は気球の布部分が強風にあおられ、ゴンドラに閉じ込められたまま猛烈に海上を引きずられるというやばい事態に。貴重なゴンドラ内の映像とともに、その瞬間を語る。 |
▼part 3. その先の旅人たち 2. マッケンジー河漕飛行 多胡光純 大河マッケンジーの畔で暮らす狩猟民デネ族。彼らが極北の大地に刻んだ「物語」をより深く理解したくて、突如としてパラグライダーに手を出し、天と地を結ぶ空撮作家への道を歩み始めた多胡光純。高度な技術の習得や装備の改良を経て実現した4ヵ月、1400キロのカヌー単独航と97回のフライト体験を語る。会場では空飛び装備の展示もあり。 |
▼ 「地平線通信全記録 『大雲海』 」発刊報告 丸山純 |
■昼休憩 |
▼part 4. アンデスの風をあなたに フォルクローレコンサート 長岡竜介 |
▼part 5. その先の旅人たち 3. ぼくらはなぜ旅をするのか 安東浩正 チベット高原横断6500キロに続き、シベリア横断14927キロという冬季自転車単独行を重ねる「荒野のサイクリスト」安東浩正。自転車をスキーに履き替え、カナダ・バフィン島でも単独無補給の踏査を行うなど、とどまることを知らない行動者が、なぜ旅に突き動かされるのか、新しい時代の旅人たちに語る。 |
▼part 6. その先の旅人たち 4. 意識の旅へ??カナダ極北の原野で探し求めた途(みち) 田中勝之・菊地千恵・ラフカイ・ウルフィー 獨協大学探検部では多胡の先輩&同輩だった田中勝之・菊地千恵夫妻。ともにデネ族の世界に入り込みながら、三者三様のアプローチを続けてきた。森に生きる民の知恵とワザを学び、大河を漕ぎ下り、2頭のオオカミ犬をはじめとする運命的なさまざまな出会いに導かれながら、二人は何を感じてきたのか。高尾の山暮らしでも続いていた「意識のなかの旅」への想いを語る。 |
■休憩 |
▼part 7. 前代未聞大リレー・トーク「地平線の群像」 1/4世紀にわたって多彩な人々が関わってきた地平線会議。宮本千晴、賀曽利隆はじめ創設メンバー、森田靖郎、白根全ら歴代年報編集長、ガンと戦いながら12月、パキスタンのフンザから世界一周自転車旅を再開するシール・エミコ夫妻、夏帆ちゃんと生きる島旅人・河田真智子、その他様々な行動者たちが登場、旅と冒険のきょう、あしたを熱く語ってもらう。進行は、江本嘉伸、三輪主彦、服部文祥、石川直樹、菊地由美子の最強の5人。 |
▼クロージング (19:30 終了予定) |
おねがい 会場にはごみ箱がありません ごみは各自お持ち帰り下さい |
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1979年9月に送られた、1枚のガリ版刷りの葉書??それがすべての始まりでした。以来、25年。毎月欠かさず発行されてきた『地平線通信』こそ、地平線会議の活動の中核をなしてきたものといえるでしょう。時代状況や人生の節目に応じて書き下ろされる表紙のフロント原稿、旅先から寄せられた便りを載せる地平線ポスト、前月の地平線報告会の模様を伝える報告会レポート、ほかではぜったいに読めないさまざまな連載読み物、そして長野画伯による報告会の案内と題字。四半世紀にわたる地平線会議の歴史のすべてが、地平線通信の300号に刻まれています。
そんな地平線通信を1冊の本としてまとめて読めるようにしたいという願いから生まれたのが、「地平線通信全号復刻プロジェクト」です。全国(なんと山本千夏さんはモンゴルから参加)の40名の有志が3月から1号ずつ地道にスキャニングを続け、シミや汚れを消し、黄ばんだ紙色や印刷ムラを補正して、当時の地平線通信そのままの誌面で、現代に蘇らせました。
総ページ数は、なんと1152ページ。サイズは『地平線から』や『地平線の旅人たち』『地平線データブック・DAS』と同じ、A5判ですから、本棚に並べて置くことも可能です。特殊な用紙を使ったので、厚さは4センチ弱に、重さも1キロをちょっと越えたぐらいにおさまりました。秋の夜長、ベッドに寝ころんで毎晩少しずつ地平線の歴史をひもといていくなんて、最高の贅沢だとは思いませんか。
限定300部しか刷りません。2600円でお頒けしますので、売り切れ必至。お申し込みは、お早めに。送料は1部500円(2部700円・3部以上は要問い合わせ)です。
【申込先】
地平線大雲海制作室:
〒167-0052 東京都杉並区南荻窪2-22-14-201 丸山純方
氏名・住所・郵便番号・電話番号・部数を明記のうえ、上記「地平線大雲海制作室」まで、郵便(葉書でも可)またはEメールでお申し込みください。書式はどんなものでもかまいません。報告会会場などで配付するチラシやウェブサイトに置かれている申込書を使うと簡単です。本と一緒に振込票(郵便振替)をお送りしますので、到着後振り込んでください。
『地平線大雲海−−地平線通信全記録 0号〜300号』の紹介・申し込みページへ
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[1万円カンパ実行人リスト](04年10月25日現在)金井重 丸山富美 埜口保男 北川文夫 飯野昭司 青木(生田目)明美 横山喜久 野々山富雄 西澤栄里子 中島菊代 岩淵清 森井祐介 花崎洋 坂下哲之 関根皓博 村田忠彦 賀曽利隆 大西夏奈子 松田仁志 岸本実千代 河田真智子 江本嘉伸 海宝道義 海宝静恵 遊上陽子 斎藤豊 河野昌也 近藤淳郎 鹿内善三 香川澄雄 シール笑みこ&スティーブ・シール 菊地由美子 白根全 村松直美 原健次 三上智津子 佐々木陽子 藤田光明 三輪主彦 佐藤亜紀子 坂井紀子 石原卓也 加藤幸光 吉岡嶺二 藤本亘 松川由佳 山本千夏 山本祥子 田口幸子 瀬沼由香(敬称略)
299号の発送請負人 三輪主彦 関根皓博 江本嘉伸 菊地由美子 落合大祐
郵便振替 00100-5-115188/加入者名 地平線会議(手数料が70円 かかります) |
「地平線会議300か月記念フォーラム『その先の地平線』」の会場は、新宿区の牛込箪笥区民センター2階にある「牛込箪笥区民ホール」。地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅の真上なので、アクセスは抜群。地下鉄東西線神楽坂駅からも徒歩10分、大久保駅と新橋駅を結ぶ都バス(橋63)の牛込北町バス停もすぐ近くです。☆会 場:牛込箪笥区民ホール(東京都新宿区箪笥町15番地 〒162−0833/03-3260-3677)
都営地下鉄大江戸線:牛込神楽坂駅 A1出口徒歩0分
営団地下鉄東西線:神楽坂駅 2番出口徒歩10分
都バス(橋63)大久保駅〜新橋駅:牛込北町バス停下車(大久保通り沿いです)
公式地図はこちら:http://www.city.shinjuku.tokyo.jp/division/261400tansu/annaizu.htm
☆日 時:11月7日(日) 11:00 〜 19:30 (開場 10:30)
☆参加費:1000円
☆お問い合わせ:
詳しくは特設サイトでご確認下さい。
※おねがい 会場にはごみ箱がありません ごみは各自お持ち帰り下さい
地平線報告会は、どなたでも参加していただけるオープンな場です。テレビをはじめとする二次的な情報では決して味わえない、世界を旅してきた報告者の「生の声」を直接聞くために、1979年9月から毎月欠かさず開催されています。どうぞ気軽に参加してみてください。予約などはいっさい不要です。いきなり会場にお越しください。
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