■江本 嘉伸 【EMOTO Yoshinobu】
1940年、横浜生まれ。新聞記者。東京外国語大卒。国際モンゴル学会会員。「地平線会議」代表世話人。日本山岳会会員。エベレストを南北(ネパール、中国)双方から登攀取材、北極、シベリア、中央アジア、チベット横断、黄河源流探検、モンゴル遊牧草原行、チンギス・ハーンの陵墓を探すゴルバン・ゴル学術調査などの企画、取材にあたる。87年以来、モンゴルへは20回取材の旅を繰り返し、94年、モンゴル報道の先駆的役割が評価され、モンゴル・ジャーナリスト同盟より外国人として初めて「最優秀ジャーナリスト」に選ばれる。80年6月の第10回「地平線報告会」では、同年2〜5月に同行取材した日本山岳会チョモランマ登山の模様を報告。第40回(83年2月)では、82年秋から冬にかけてチベットを踏破した様子を伝えた。第71回(85年9月)には日本ヒマラヤ協会とともに彷徨した黄河源流探検の様子を発表。また取材を重ねてきたモンゴルの遊牧草原の暮らしや、歴史的大転換である民主化の実情について95回(87年9月)、104回(88年6月)、149回(92年3月)の報告会で語った。主著に『ルポ黄河源流行』(読売新聞社)、『西蔵漂泊―チベットをめざした10人の日本人』(上下巻 山と渓谷社)などがある。
- 014 モンゴル アルハンガイ県[1987年8月9日]
草の香り高い緑の斜面を、人馬が2頭行く。前方を車の轍わだちが走る。モンゴルの夏は、草原が海のように波打つ季節だ。
- 015 モンゴル アルハンガイ県[1987年7月]
草原のゲルで遊牧民一家の記念写真を撮る。家族の写真は、遊牧民の暮らしではとても大事にされ、ゲルの中に飾られる。
- 016 モンゴル 南ゴビ県ホンゴル砂漠[1987年7月31日]
長さ120kmの長大な砂丘。通常「ゴビ」は「土漠」をさし、草も水もあるが、ここは完全な砂丘。50、60mの高さで蜒えん々と続く。
- 017 モンゴル ヘンティー県ピンデル郡[1988年3月20日]
羊遊牧民のツェンドさんの冬のゲル。放牧していた羊たちが凍てついた草原からハシャー(家畜舎)に向かって帰ってくる。気温-18℃。
- 018 モンゴル アルハンガイ県ツェツェルレク[1987年7月]
モンゴルの地方の町は、木造りの家とゲルが共存して独特のモザイク模様を作っている。
- 019 モンゴル ウランバートル[1987年7月11日]
ナーダムの日、スタジアムでは512人の力士が参加して2日間モンゴル相撲が繰り広げられる。制限時間なし。長引く相撲もあれば、豪快な荒技で一瞬に決まる勝負もある。
- 020 モンゴル ウランバートル[1987年7月11日]
年一度のナーダム祭り初日は、要人たちの前でパレードが繰り広げられる。中央にバトムンフ書記長(当時)の姿が見える。モンゴルはつい先日まで社会主義国だった。
- 021 モンゴル ウランバートル[1987年7月11日]
モンゴル革命の英雄、スフバートルの像の前で、軍楽隊の演奏が続く。背後の山々はボグト・オーラ(神の山)といい、そこに生息する鹿がよく町まで下りてくる。
- 022 中国 チベット自治区シガツェ郊外[1982年10月30日]
チベットを流れる川を渡るのに革舟「コワ」を使う。楊柳の木を骨組みとし、ヤク4、5頭の革を張って作る。流れにまかせて下り、上流に戻るときは人が担いで運搬する。
- 023 中国 青海省共和県の黄河源流域[1985年6月1日]
羊を追う遊牧民の移動テントから少女と弟らしい少年が顔を出した。カメラを向けると気をつけ、の姿勢になった。
- 024 中国 チベット自治区ダムシュン草原[1982年10月8日]
標高4200mのの遊牧草原では水汲みが欠かせない。女性たちは羊の毛で糸を紡ぎながらテントと小川を往復する。
- 025 中国 青海省の青海湖近く[1985年3月]
ヤクの群れを追う遊牧民一家と出会った。羊革のコートを着て乳飲み子を抱く母と子。黄河の源流域は、チベット遊牧民の世界である。
- 026 中国 青海省共和県[1985年3月]
黄河源流域でのどかに草を食む羊の群。羊は、遊牧草原の財産だ。
- 027 中国 青海省西寧―ラサを結ぶ青蔵公路・小高隣[1985年3月]
驚くほどの荷を載せ、その上にひしめくように人が乗る。四川省からラサに向かう巡礼たちのトラック。落ちないよう人間も外側からロープでくくっている。
- 028 中国 チベット自治区シガツェ タシルンポ大僧院[1982年10月20日]
大僧堂での読経を終えた僧侶たちにバター茶が配られる。懐から碗と主食のツァンパ(麦こがし)を出し、茶でこねて食べる。
- 029 中国 青海省黄河源流地点[1985年6月11日]
標高4500m。黄河最源流の源泉を見下ろすようにしてチベット遊牧民のテントがあった。土の大きなかまどにヤカンがかけられ、牛糞の燃料でお茶を作っていた。
- 030 モンゴル 南ゴビ県[1987年7月28日]
国家英雄牧民の称号を持つゴビのラクダ遊牧民、ウルヂーさん一家。モンゴルには主要5家畜がいるが、その中でラクダは扱いの最も難しい動物だ。