地平線通信9月号の岩野祥子さんの文章に思う-賀曽利隆さんから

9月9日から11日まで、福島の被災地を訪れた。その概要は地平線通信9月号に書いたが、この時、 南相馬で“東北男”、賀曽利隆さんと出会った。その後東北を走りきり、帰ってきたから賀曽利さんから早速「東名(とうな)」について投稿が。

東松島の東名

江本さん、「鵜ノ子岬→尻屋崎」の第2弾目を走り終え、帰ってきました。南相馬でお会いできたのはほんとうによかったですね。
さっそく「地平線通信」の9月号を読ませてもらっていますが、ぼくの目をひきつけたのは岩野祥子さんの「東松島通い」です。そこに出てくる東名地区、野蒜地区の地名にくぎづけでした。

「野蒜」の方はJR仙石線の列車事故で大きなニュースになったので、記憶されている方も多いと思います。ぼくがここで注目したのは「東名(とうな)」なのです。

松島が今回の大津波でほとんど無傷だったのはよく知られていますが、松島から海沿いの県道27号で東松島市に入ると、そこは「大塚」。仙石線の陸前大塚駅が海岸にあります。駅も駅前の家並みもまったく無傷で大津波の痕跡は見られません。

その陸前大塚駅の次が東名駅なのです。その間はわずか2キロ。この2キロが天国と地獄を分けています。
ゆるやかな峠を越えて東名に入ると、信じられないような惨状なのです。
「(大塚が無傷なので)なんで、東名がこんなにやられてしまうの!?」
と思わず声が出てしまいます。

大震災2か月後と今回の半年後を見比べてみても、それほど変らず、東名にはいまだに大津波の爪痕が生々しく残っています。
東名がこっぴどくやられたのは、東名運河が大きく影響しているように思われます。この運河は石巻湾に流れ込む(河口近くの)鳴瀬川と松島湾を結ぶもの。この運河にどれだけの必要性があったのでしょう。東名駅の次が野蒜駅です。野蒜駅は東名運河に面しています。

この東名運河の松島湾側の水門は残っています。しかしその南側につづく堤防は激しく破壊されてます。
大津波は松島湾側からではなく、石巻湾側の野蒜海岸から押し寄せてきたといわれていますが、それのみならず、大津波は鳴瀬川から東名運河に入り込んで野蒜から東名へと押し寄せたのではないか…と思われるのです。

運河の水門のさらに海岸寄りには、ほとんど無傷の家が1軒、残っています。これもじつに不思議…。
不思議だらけの「東名」ですが、今回の大津波のメカニズムを解明するのには絶好のフィールドのように思われのです。(賀曽利隆)

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地平線通信9月号の岩野祥子さんの文章に思う-賀曽利隆さんから への1件のコメント

  1. 網谷由美子 より:

    アウトドア義援隊は毎週末まだまだ東名、野蒜地区で活動中です。
    運河を越えた地域で全壊、半壊の家がたくさんある中で、より海に近い運河より海側なのに
    外観あまり壊れていない家があるのを私もいつも不思議に思っていました。
    アウトドア義援隊の名前はそのまま使いつつも、モンベルの手を離れ、やりたい人たちが
    集まって自由な雰囲気で活動を続けています。もちろんモンベルの社員の方たちも来たい
    人が来れる時に来る。たまたま知り合いから話を聞いたから来て人や、徒歩旅行中や、ヒッ
    チで東松島コミュニティーパークにたどり着いたところで、ボラセンに申し込む前にわれわ
    れに捕獲されていっしょにボランティアした青年もいますが、多くの人は早くは3月の天童
    の倉庫時代から、あるいはGWの東松島の活動からずっと通い続けている仲間たち。
    同じ地区に通い続けることで、みな東名、野蒜を自分のふるさとのように思っています。
    これからも手伝ってほしいという依頼があるうちは通おう、と仲間の多くは考えています。
    そろそろ自分の生活に戻りたいと思う人は思う人で、そうすればよいし、ずっと見守り、手が必要なときはお手伝いしようという人はそうすればよいし。
    はるばる大阪から南極さんこと岩野さんはじめ、何人もの方が何度も何度も来てくれていて、
    本当にすごいなぁと思いますが、「被災地支援」がもちろん一番の目的ですが、仲良くなった地元の方の顔が見たかったり、いつもの仲間と会いたかったり、そんなことも理由の一つ。
    自分が関った地域のこれからを見続けたいということもあるでしょう。
    きっと、最初に関った場所が違っていれば、そこに通い続けていたのではないかと思います。
    なぜ東名、野蒜だったのか、それはたまたまだったのですが、今はここに関れてとてもよかったとみな思っていると思います。

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