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■10月の地平線通信・215号のフロント(1ページ目にある巻頭記事)
●日本は4年ぶりです。西オーストラリア、パースで大学に行っていました。久しぶりの日本は家の狭さもびっくりでしたが、何より人の多さに口をあんぐり。
●日本脱出、当初は英語学校に一年ぐらい…なんて考えていたのですが、Edith Cowan (イーディス・カーワン−−この発音を獲得するのに数カ月という英語力の私でした)大学のレジャーサイエンス(レジャー学)というコースに出会って修士課程の途中まで進みました。でも貯金がつきたのと、第二子誕生(今年3月)で一時中断。十年間単位が有効だというので「在籍中」と言っときましょう。
●このレジャー学、なかなかおもしろくてこれからの日本では必要だと思います。簡単にいってしまえば「遊びが人間にいかに大切か」ということ。欧米ではこの分野での「レジャー」の定義は「あらゆるプレッシャーから自由な、自分で選んだ自分のための時間、活動、心の状態」。余った時間とか、暇つぶしの活動といった消極的意味のものでなく、主体性を持った自分自身のためのものという視点にたって人生の目的そのものとまで言い切ります。今まで好きなことを優先させてきて、どこか日本ではうしろめたさもつきまとった私のこれまでの生き方を「なあんだこれでよかったのか」と肯定してくれた力強いコースでした。
●パースでの生活は勉強以外は極楽でした。何しろ400坪(1400m2)の家(4LDK)にプール付きで月6万円。極め付けは私の最も得意とする泳ぐという環境が。車で5〜10分のところにオリンピックサイズのプールが4つも5つも。しかも朝5:30から夜の9時までオープン。入場料時間制限ナシで大人200〜300円。海までもやはり車で10分以内。10月から4月ぐらいまで夏の陽気って感じで水泳三昧でした。
●多民族文化のオーストラリアも楽しみました。わが家でも家賃を浮かすことと家族だけでいると日本とあんまりかわらない、と家のシェアメイトを募集。東欧チェコからの女医さん、スロバキア出身の助産婦さん(リビアで5年働いた経験もある)、カンボジア難民だった青年、韓国の坊ちゃん(英語学校に籍をおき親からの送金でギャンブルに溺れ我が家を追い出された)などなど。プロゴルファー、水球修業に励む日本青年などもいました。
●楽しく生活したパースをあとにしたのは昨年12月。でもまっすぐ帰国せず、ついでに世界に散らばる友人を訪ねてUAE (アラブ首長国連邦)経由ヨーロッパ、モスクワ、再びヨーロッパという旅を。日本にたどりついたのは今年2月です。ぜーんぶ友人の家に泊る旅だったからこんなこともできたのですが。どの再会もうれしいものでしたが、なかでも忽然と日本を去り、UAEですでに4人の母となっていた直子ちゃんとの6年ぶりの再会というのは感動的。おベンツのあるお城のような家でメイドに指示しながらたくましく生きてました。抽選であたって国からもらった住んでない家というのも別にあると聞いてギャフン。女性の地位の低さばかりをイスラム以外の世界ではよく知らないまま話題にしますが、女性のための病院は全員女医、というように一定数常に女性の職場が確保されていることを考えれば、日本はイスラムの世界よりよっぽどひどい、というの直子ちゃんの夫。なるほど。
●厳冬のヨーロッパではパースで常夏系の身体になってしまった身にはチョーこたえた。忘れもしないモスクワでの年越しはマイナス25度。赤の広場に行ってみたもの全身が凍る前に記念写真撮るだけで精いっぱい。とどめは翌日市内の公園で、凍った池の水を電動ノコギリで切って作ったプールに飛び込むスイマーたち(最高齢70才)との遭遇。これには勘弁ですよ。
●最後に本の宣伝。『やっぱりスポーツが気にかかる!』(大貫映子編著 \1600窓社刊 Tel:03-3362-8641)スポーツ以外の分野で活躍する方々6人との対談と、オーストラリア生活を通して考えた「日本のスポーツ」へのメッセージ。全編共通なのが自分のいる世界を「外から見てみる」という試み。冒険心、チャレンジ精神が育つ土壌のない日本についてあれこれと本多勝一氏や沢野ひとし氏と。増井光子(現麻布大学教授・獣医学博士)さんとは「馬の“気”」や、動物としてのヒトの行動の話など。スポーツに関心がなくても「自分らしく生きること」や「楽しむこと」軽視への問いかけ、「発想の転換」の友に、是非お求めください。よろしくお願いします!!。[おおぬきてるこ]
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惠谷治 |
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9月中旬に北朝鮮をまわった日本人が一部隠し取りで撮影したビデオを見ながらの報告でした。
◆第一部の現地ツアービデオ紹介が終わるとグッタリしていた。嘘のような現実と、〈偉大なる首領さま〉への賛辞に吐き気がするほど不快感が襲ってきた。休憩の時間になったときには積もり重なっていて一瞬立てなかったほどだった。
◆北朝鮮の現状を映し出すビデオには水害を受けているらしき村以外、差し障りないところだけ映っていた。ビデオを写した人はどんな人かは知らないが当局が管理する行程でスケジュールをこなしたのだろう。二度と使えない首領さまの坐った歯科用の椅子、市内に配置される綿菓子の屋台や公園のカップル、展示してるだけでほとんど買えないデパートに通らない自動車と画面に現れるものは空しさと嘘で塗り固められていた。学校へ行けば子供たちの歓迎が続く。楽器の演奏や舞踊、化学の実験。無理にやらされているなら一人ぐらい退屈そうなそぶりを見せそうなものだけど隙がまったくない。どの子もどの子も表情がなくてまるで人形のように見える。偉大なる首領さまへの賛辞が松島トモ子のような声の女子小学生から発せられたとき、「実はロボットが自動で話しているんじゃないか」と一瞬錯覚してしまったほどだ。
◆第二部は北朝鮮の体制について恵谷さんから解説が続いた。党が国を指導する体制だということ、金日成が死んで三年経つのに最高指導者が不在だということ。十月十日頃、息子の金正日が何らかのポストに就任するんじゃないかということなど。わかりやすい解説が続いて報告は終わりとなった。
◆ビデオの途中、高中小幼稚園の子供たちの人形のような姿に場内は何度か笑いに包まれた。目と鼻の先に未だに大日本帝国のような思考を持つ国があって、その国を背負う子供たちが人間性を失われてしまっているという絶望的な現実を突きつけられたのだ。みんな苦笑いするしかなかったのだと思う。[西牟田靖]
第5回日本山岳耐久レース |
◆初参加の恩田真砂美さんは14時間22分56秒で完走。これは男女総合85位、女子総合3位、年代別30歳代女子1位という素晴らしいもの。大会会長で東京都山岳連盟会長の山本久子さんも、ランナーが上位を独占するなかで、ヤマヤの恩田さんの活躍を非常に喜んでおられた。
◆私はヒマラヤ登山中のご主人、松原尚之さんの依頼で、恩田さんのコース下見を兼ねた4回の山岳トレーニングに同行。これはひょっとしたら大化けして、女子総合1位も夢ではないとの期待を抱いた。ヤマヤ本来の登りの強さに加えて、下りも回数を重ねるに従って女性とは思えない無鉄砲な速さに成長。危惧すべきは長距離ランニング未経験による後半の疲労のみ。案の定、後半くたびれて、多数のランナーに勢いよく追い越され上記の成績。第1回と第2回大会の女子総合優勝者の遠藤栄子(歴代女子2位)、志波裕子(同1位)さんと比較して、恩田さんは登りは彼女たちと同等で下りは勝るが、走力・持久力においては、100キロマラソンで日本女子のトップレベルの実力を有する彼女たちにはまだまだ及ばない。恩田さんが耐久レースを制覇するための課題は、ウルトラ・マラソンで走力・持久力を養成することにつきる。
◆なお私も300名山ランニングと山にかまけて、長距離トレーニングが不足したため後半の30キロは下り以外を歩き、14時間52分13秒で総合103位と昨ねんの雨中での記録に及ばず、年代別でもゴールまじかで追い越され2位。ウルトラ・マラソンの重要性を再認識した。[香川澄雄(日本ウルトラ・ランニング登山クラブ会長)]
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10月26日(日)水道橋YMCAアジア青少年センター 6:00pm Start (5:30 Open)
入場料 2500円 前売り2200円(当日清算可 TEL 0424-68-2413)
出演:サドン・ボイラギ/アショク・ダス・バウル/かずみ まき/シュクマール・マリック
バウル・メーラ世話人の会/(社)アジア協会アジア友の会
問い合わせ先:030-709-3139(ナカムラ)
地平線ポストから |
地平線ポスト宛先:〒173 東京都板橋区大山町33-6 三輪主彦方 〜電子メールでも受け付けています〜TAB00165@niftyserve.or.jp 武田力方 |
●宇都木慎一さん…97.8.30…堺市発
◆今夏は山三昧でした。体力的には全く問題ありませんでしたが、ヒザをやられてしまいました。気力の持続という点では中高年の方が若い人より優っているように思えます。8/13、平の渡しの船で、300名山の香川澄雄さんと同乗しました。ことばは交わしませんでしたが、すごい人がいるものだとびっくりしてしまいました。ちょっと真似できません。40代最後のメモリアル山行となりました。
◆私は27才になりますが、いまだ海外に行ったことがありません。「ツアーパック旅行はイヤだ」とか「〜をしたいから今の時期はダメ」とかいって行くチャンスをのがしてきました。結局「勇気」がなかったんです。1人でも行ってみようと思えばどんな所にも行ける!! 何だってやれる! 女だからとイロイロ言う人もいるけど、もう迷わずに行こう!
◆214号の堀田さんのレポートを読みそう感じました。勇気をありがとうございました。春、とても行きたかったネパールに行ってきます。
◆26日、日本を発って5日目に無事チトラルに到着しました。一応予定通りなのですが、1日のロスもなくチトラルに来てしまうと、なんだか不思議な気がします。イスラマバードやペシャワールでは強烈な日差しと湿気ですっかり体温調整機能が狂って、だらだらと汗をかきどおしでしたが、ここチトラルでは、空気が乾燥していてさわやかで、もう秋の気配が漂っています。ホームグラウンドに帰ってきてホっとひと息ついたところです。
◆明日(28日)、親しくしているチトラルの王族が新しくオープンするホテルの開館祝賀式典を盛大におこなうそうなので、カラーシャ谷は30日に向かうことになりそうです。ドロムツの故ブルハン殿下の館のチナール(スズカケ)の大木の下で涼しい風に吹かれていると出発前のあのバタバタ騒ぎも、はるか昔の事のように思えてきました。
◆アラスカではアラスカに熱中し、カナダではカナダに熱中、アメリカVT州のサマーキャンプと、その時々に熱中して、今はNYです。ほんとに遊びというのも、体力と根性ですね。体力が落ちた今は、一日遊ぶとフラフラ。NYは疲れる町です。
◆アラスカもカナダも旅行者天国でした。スケールのでっかい大自然の中で治安もいいし、人間もいいしです。何にもない町の店で人参かっていたら、奥さんが家に泊まれ、じゃあお茶に来いよと誘います。何と彼女のまきずしなどごちそうになりました。息子が一年、交換学生で日本に行っている、家には日本女性をホームステイさせていて覚えたというわけです。
◆バスで一緒に待った女性は小学校の先生。同じ年の亭主は途中から農業(跡継ぎは町に出たのでいない)65歳になったら農地も牛など動物も家も売ってどこかに住むのだそうです。なんか固定してないところがいいですね。人生はその時、その時だと思います。
◆NYも旅行者に住みやすい町です。バスも地下鉄も24時間走っていて、車がいりません。たべもの屋はどこにでもピンからキリまであって助かります。サービスタイムならワイドなピザが1ドル。夜はアッパータウン窓の下の皇帝で遊ぶ子供たちや大人のスペイン語の声が夕風と一緒に入ってきます。人間どこでも生きられるし、どこで暮らしても基本的な暮らしは同じですね。NYにも日本の古本屋があるんですよ。日本レストランも多いし、働いている人も多いでしょう。本屋にブラリと入って、あっこんな本がここでは売れるのかと表紙をながめたり。
◆カナダでもNYでも、その土地の日本語の新聞読むのが好きです。どこで生活している日本人の気持ちがビンビン伝わってきます。ついおせっかいにも「やってますね。元気でね」と心のメッセージを送ってしまいます。さあ、雨だったりちっとも暑くないNYですが、今日は快晴、今から外出です。では又ね。
※エクアドル8月30日付消印の封筒に「NYはいそがしく、ついここまできてしまいました」と書いてありました。
◆コブレンツでライン川をわたり、モーゼル川沿いに進み、大きな森をいくつかぬけて再びライン川を渡り、今回のゴールのカールヌルーエへ8月10日予定通り歩き終えることができた。印象的だったのはやはりモーゼル川沿いのぶどう畑の中の歩く道で、秋ならもっとすばらしい風景で、秋にぜひ歩いてみたい道でした。天候にもコースにもめぐまれ、ドイツの国に感謝。
◆三輪さん始め地平線会議の皆さん益々ご健勝にてご活躍のこと思います。皆さんの行動力にいつもいつも勇気づけられます。私もヒマラヤから日本に出稼ぎにきた平盛の花咲爺々と古希の盛春をヒマラヤ山中の恵まれぬ人々に捧げて頑張っています。最近の語録を一つきします。ご笑覧下さい。
人間を心ではかる俺の主義
◆こんにちは。堀田志津子さん、彗太くんのお誕生おめでとうございます。私も、堀田母が214号で書いたような気持ちを9年前に素直に感じましたが、2人目、3人目と生まれてくるうちに、その気持ちを保持しておく時間が段々うすれ、堀田母の文でハッと目ざめました。子育て頑張って下さい。
◆さて、我家の夏休みですが、家族5人で北海道へ10日間行ってきました。久しぶりに飛行機に乗り、“旅に出た!”という思いをしたのもつかの間。着いて3日目に、3人目の1歳5ヶ月の圭太(うちの子もけいたです)が重症な肺炎になり、富良野の病院に2週間入院となってしまいました。そのため、私かダンナが交代で付き添いにとられ、行動範囲が限られてしまい、上二人の子供たちはかわいそうでしたが、そう思うのは親だけ…。
◆以前、地平線でも報告したことのある吉野徹さん宅へ寄ったとき(彼は数年前砂川で農業をはじめ、今では鶏を飼い無農薬野菜を作り、それらを車に積んで売り歩いています)いっしょに畑にでたり、野菜を売りについていったり、あひるのピヨ太をかわいがったり、卵の点検作業を手伝ったり、と実に生き生きと無邪気に楽しんでいました。月・火・水・木・金・土・日、これは子どものためにあるのではないかと思いました。
◆月−月あかりでもあそべる/火−火あそび これはこわい/水−水あそび/木−木のぼり/金−金はなくてもあそべる/土−ドロンコあそび/日−太陽がなくっちゃくらいよ。
◆最後におまけがつきました。砂川で小3のあすかは喘息になり、救急病院へ2回お世話になり、5歳の陽太はアクリル100%の毛布でアトピーがひどくなり、かきこわし血だらけ。今は、皆元気になりました。今回の旅から、我家にひとつのことばができました。「病は旅から」です。
地平線ポストではみなさんからのお便りをお待ちしています
地平線ポスト宛先:〒173 東京都板橋区大山町33-6 三輪方
E-mail:TAB00165@niftyserve.or.jp(武田)
◆地平線報告会でいつもビデオを撮影している新井由己さんの「芝居小屋から飛び出した人形師」が第2回週間金曜日ルポルタージュ大賞の佳作に入賞しました。第1回の樫田秀樹さんの報告文学賞に続いて、地平線関係者から2人目の入賞です。おめでとうございます。
6月の報告者本橋成一さんが企画・監督した映画「ナージャの村」がBOX東中野(03-5389-6780)で11月中旬よりロードショー。特別鑑賞券1500円(当日:一般1800円、小・中学生・シニア1000円)。
10/30 数見真紀さんは、'91年に来日したバウルの導師、サドン・ボイラギの唄に強く惹かれ、それまでのOL生活を捨ててインドに渡り、彼の元に弟子入りしました。そして一座と共に村々を巡りながら修行を続け、外国人で初めてのバウルとなったのです。その唄はベンガルの人々の心をとらえ、すでに2本のカセットテープも発売されています。 今月は、日本公演の為来日中の彼女に、公演の合間を縫って、バウル世界観やその生き方などについて語っていただきます。乞御期待! |
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