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■6月の地平線通信・200号のフロント(1ページ目にある巻頭記事)
●先週は沼田の先のブナの原生林で知られる玉原(たんばら)高原に行き、日本一の木登りオジサン(本職は岩登り屋さん)の大内尚樹さんに木登りを教わってきました。子どもの頃に登ったのはせいぜい柿の木ぐらいで、今回のように20mもあるブナの木に登ったのははじめてです。
下の方には枝がないので、ロープを輪にして、幹に回し、プルジックの要領で足を入れて、2本のロープを交互にずりあげていきます。大内さんは7〜8分で今にも折れそうな枝の先端まで登りますが、私は別のロープで確保してもらっても、20分かかって10mにも届きません。おまけに風が吹いて、ユラユラと船酔い状態になりました。
ブナの葉が繁っているので、景色はよくなかったのですが、気分は爽快、新しい世界を見つけたような気がしました。ブナの幹に1時間もしがみついていたのに、幹に耳をつけて導管を伝わって吸い上げられる水音を聞くのを忘れてました。二兎を追ってはいけない。
●先週まで、7月13日(土)に出す「地平線の旅人たち」の編集作業の末席をけがしていました。みんなが懸命に作業をしているそばで校正と称して集まった原稿を読んでいました。私も200回の報告会全部に出たわけじゃないので、はじめて知った行動もありました。よくもまあこんなに、すごい、おもしすい旅をしている人がいたもんだ。原稿を送って下さった先も、南極の基地や、南アフリカ、ミャンマーなどから、また世界を移動中の冒険王カソリ、探検王セキノからも便りが届いています。読み始めたらハマってしまい、途中で仕事になど戻れません。
江本氏は全員から便りを集めることに全身全霊をかけ、三輪はひたすら感動しながら「校正」をしていたため、本当の編集作業は大幅に遅れてしまい、関係者には迷惑をかけてしまいました。窓社の全従業員3人の作業で、13日にギリギリ間に合わせてくれるとのことです。申し訳ない。
●1冊2200円です。お買いあげ並びに地域の図書館への注文よろしく、おん願い申し上げます。地平線の人は本を作るのには熱心だが、売るのは下手だという傾向にありますが、今回はこの本とDASを持って行商に歩こうかと考えています。
各地で「地平線集会」をやろうという企画が電子情報で飛び交っているようですが、ぜひ参加させてください。三輪主彦、江本嘉伸、森田靖郎ら、最先端窓際族が飛んで参ります。
●前回もお願いしましたが、地平線オークションに出す品(どんな品でも結構です。その際説明を付けて下さい)を準備しておいて下さい。【三輪主彦】
◆船は10人乗り。欧米の彼女たちは全員20歳代。高い船のヘサキからダイビング。シゲは船の後からドボン。欲張って最後まで泳いでいたら、イルカにかまれて大騒ぎ。どこにもキズあとなし。散々遊んであげたから、最後にちょっとイタズラ? とにかく人間にだけ特別じゃない。とりも魚も植物も人間も皆同じですね。あたり前ですが、でも彼らと同居し共生した実感です。
◆ベネズエラではエンゼル・フォーレスに行くはずでした。空港に着いて、リック重し。航空ストにどっと汗。突然のストは迫力がありますね(やるぞやるぞというスケジュール斗争と違います)。ほんとにあわてました。でも仕方ないよ、ストなんだから。
◆では、またね。
◆カイロは、夏が到来してから早1ケ月余り経ちました。冬から突然夏になるために驚いた毛穴が空きっぱなしで、鏡を見る度に額に違和感を感じます。今年は天候不順で先月に終わっているはずの砂嵐=ハムシーンが今になってもやってくる有り様。これがやってくると、いつもの青いカイロの空が灰色とに二分され100メートル先のビルも見えなくなります。隙間だらけの我が家は、一面龍角散をまいたように一面真っ白になってしまいます。
◆さて、カイロの通信事情ですが、電話事情が悪いためにがんばって2400でしか、送れません。平均すると東京の4分の1ぐらいの速度でしょうか。もろもろダウン・ロードするといらいらします。従って、通信とも疎遠になりがちです。しかし、つい最近、市内にインターネットのプロバイダーが相次いで商売開始。わたしもどうしようか考えています。しかし、所詮私の機械がブック型の白黒モニターのマックで、今一つ契約に踏み切れないでいます。
◆これから、イスラエルの選挙と、仕事の方はしばらくイスラエル関係が続きますが、早くこの地域が少しでも落ち着いて、アフリカのニュースを発信できればと思うこの頃です。近い将来この辺に旅行される方、または旅行を考えている方、メッセージを下さい。
たにかわ ひでお//LEB 03112
471 [96/05/20 00:03] QWF01317
花岡:JKT便り#04
◆Selamat Malam! ご無沙汰しています。長かった雨季もようやく終わりのようです。暑い日が見られ始め昨日の最高気温39°C、最低26°Cです。早いもので5月23日にJICA専門家としての2年の任期が終了します。私の後任者がすでに着任され、生活基盤整備(家探し、車の購入、パソコン通信の加入(!)等のお手伝いと着任挨拶等ではしりまわっています。
◆先週に某霞ケ関にある行政改革のやり玉に上がっている某庁への出向の内示をいただきました。5/23帰国、/24某省復帰辞令、同日某庁出向と厳しい辞令発令です。また、意に反して昼休みに皇居の周りを走るにはいい職場に配属となりました。地平線マラソンは、十分リハビりしてから参加します。インドネシア滞在により、今までと全く違った視点で日本の行政を見つめることが出来ました。また、力不足・勉強不足を痛感した気持を、持続して勉強し直したいと思います。
◆私事ですが、妻がGW連休を使って4/27-5/3に来「イ」し、約3ヶ月ぶりに会いました。インドネシアに派遣されてから結婚して、 1年4ヵ月がたち、妻は埼玉に住んでいますが、2〜3ヵ月おきに仕事の合間を縫って3日〜1週間程インドネシアにやってきます。一緒に過ごした期間がようやく1.5ヵ月になりました。GWは最後の機会と無理をして4泊の「イ」国内を旅行していました。イリアンジャヤのビアク島(2/18に地震があり、津波を日本まで「輸出」した島です)とマルク諸島のアンボンというジャカルタから4,500km離れためったにいけない穴場にいってきました(JICA調査の現地調査をかねて)。海がきれいで、船をチャーターし無人島にでかけ、シュノーケリングや浜で遊んできました。駆け足でしたがのんびりできました。詳細は頑張って、帰国前に報告したいと思います。
[ジャカルタもあと3日となり、最終報告書がまったく出来ていない呆れたJICA専門家]
犬はジェラシーがとても強く、頭をなでるなら、全部の犬に平等にしてやらなくてはいけない。犬の嗅覚がいいというのは有名だが、聴覚も同様。初めのうちは、ポケットにたばこやお菓子をしのばせていたが、取り出す音さえ気にして振り返るのを見て、これではいけないとやめたほどだ。
多くの犬を扱うのは本当に大変だったが、登山隊と合流した時、他のメンバーは荷物を背負って歩くのに、自分は犬を操って荷物を運んでいけ、じつに爽快だった。これが小嶋さんにとって、ペットでない犬との初めての出会いだった。
◆犬の世話で明け暮れるレース
アイディタロッドは、動物愛護の精神が強いアメリカで行われるレースなので、犬の健康状態に対するチェックがひじょうに厳しいそうだ。犬に何かあれば、チェックポイントは通過できない。調子を崩した犬は、チャーター機で病院に運ばれる。
足を傷めるのを防ぐため、犬に靴下は履かせなければならないが、緩くては脱げてしまうし、きついと血行が悪くなり、嫌がって犬が自分で取ってしまう。履かせ方の加減が難しい。20頭の犬の4本の足にひとつひとつ靴下を履かせていくのは、大変な作業になる。
レース中は、足を毎日丹念にチェックするが、犬は調子の悪い足を隠そうとする。これを見逃すと、次の日には足が化膿してしまう。犬は2頭ずつペアになっている。調子が悪い犬がいると、もう一方の犬がよりそったり後ろを振り返って止まるようマッシャーに催促する。
◆マッシャーはほとんど眠れない
小嶋さんがボランティアの人と一緒に犬の食事を作る様子が、スライドで映される。競技は多くのボランティアに支えられている。
せっかく時間をかけて食事を用意しても、いざ食べると、3口か4口。作るのに時間がかかるだけでなく、解凍にも時間がかかる。食事は4食分を一度に解凍して、クーラーで保温しておくという。
レースの休憩中、犬は5〜6時間眠れるが、マッシャー(犬ぞり使い)は食事を解凍したり、犬の靴下を履き替えさせたりと大忙しである。小嶋さんの場合は、12日半のレース中の睡眠は、わずか9時間半だけ。優勝者は、9日間で約7時間だったそうだ。こうなると、頭がボーとして、動作をするのに時間がかかったり、今やろうとしていたことを忘れてうろうろしてしまうことが、しばしばある。レース開始後1週間もすると、知能は幼稚園児程度に鈍くなってしまうのではないかという。
小嶋さんは、レースの前に48時間何も飲まずに寝ない訓練をしたり、72時間寝ない訓練をしている。30時間をすぎると、水の匂いがわかるようになる。普通の日常生活をしながらこういうトレーニングを行なうのは大変だが、それができなければレースには出られないと思っているそうだ。
◆リーダー犬を頼りにルートをたどる
犬の中には、リーダー犬が何頭かいる。だいたいは血統できまる。休んでいる最中でも、リーダー犬はマッシャーが何をしているかをちゃんと見ている。また他のソリの動向もチェックしていて、休憩中に何台にも追い越されると、疲れているのにもかかわらず、マッシャーを促して休憩を切り上げさせ、先に進もうとする。とても頼りになる存在だが、このリーダー犬の機嫌をそこねると、前へ進めない。
正しいルートをいつもとれるとは限らないので、時には道を見失い、引き返すこともあるという。GPSなどの使用は禁止されているため、航空写真から作った地図とコンパスを頼りに、ルートに残された跡を見て走る。通常は、道を見分けやすくするために夜間に走行するが、今年は白熊が沢山出没し、昼間走るように指示されたそうだ。白熊は陸上選手より速く走り、アザラシなどをふっとばしてしまう腕力を持っている。夜に移動したとき、向かい風になると後ろから熊が襲ってこないか、怖かった。
◆イヌイットにもレースに出てもらいたい
優勝者の賞金は約500万円。しかし、優勝するような人は100頭くらいの犬を飼育しているため、1ヵ月程度のエサ代にしかならないそうだ。小嶋さんは、いくつかの会社にスポンサーになってもらっている。
10年前にはイヌイットの参加者も何人かいたが、今はこうして莫大なお金がかかるようになったこともあって、なかなか参加できなくなってきた。イヌイットは、勝つためにはアンフェアなことも平気でするくらい、もともと闘争心が激しい。小嶋さんはその闘争心がすばらしいと思い、イヌイットの人たちがレースに出られるようにと、自分の犬を貸したり、指導したりしているそうだ。
◆やりたいことをやるのは、こういうこと
報告の中で、グリーンとオレンジのオーロラのスライドも美しかったが、それ以上に、雪と氷に覆われた景色の中でソリを引く犬の姿やその犬をいたわる人間の姿が、とても印象的だった。常識が通じない世界で、体験をつみかさねて学習していき、きびしい状況の中で、地元の人との交流も含め、色々なことを楽しむことができる、そんな心のゆとりがすばらしい。
入院中の群馬県の病院からまっすぐに来てくださったのに、大変な苦労をユーモアを交えてさらっと語る小嶋さんの話を聞いていると、“やりたいことをやる”というのはこういうことなんだと、つくづくと思った。(加世田光子)
※今回は、報告会のレポートが犬づくしだったため、好評の連載「地球“犬”体験」はお休みしました。
●DASは、こんな本になります。
6/25 TUESDAY 6:30〜9:00 P.M. アジア会館(03-3402-6111) \500 パナマ地峡の「闇の奥」 原始林の広がる厳しい自然条件と、ゲリラや麻薬密売人が横行する人為的危険度の高い地域、それが曽木の吉晴さんのグレートジャーニー第4期の難関、ダリエン地峡です。時間は短縮になるが、出くわせばすぐ殺される危険性の高い麻薬密売人の多い海上ルートを避け、湿原を踏破(漕破)するクラシックルートを選択。3月24日、コロンビアのトゥルボからスタート。ゲリラは多いが、すぐには殺されることはないだすうとの究極の選択でした。 水没林と水草に悩まされ、密林を抜ける緊張の1週間を過ごし、3月29日、無事パナマ側のパヤに到着しました。成功のカギは、現地の情報収集と、4度にわたる偵察によるGPSのセッティングなど、入念な準備でした。このサポートの立て役者の一人が、白根全さん。7年前に逆ルートで踏破した経験をもとに、ルート決定や進退の判断に重要な役割を果たしました。今月は白根さんをお招きし、グレートジャーニーの核心部に迫ります。 |
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