■丸山 純 【MARUYAMA
Jun】
1955年、東京生まれ。早稲田大学卒。1978年8月から、パキスタンのチトラル県に住む少数民族・カラーシャ族の谷を訪問。カラーシャ語を習い農作業を手伝いながら村の生活に溶け込み、アレキサンダー大王の末裔ともいわれる「カフィリスタン」(異教徒の国)のユニークな文化を伝える。その後もカラーシャのもとへ通い続け、85年にはパキスタン北部の民族音楽を研究してきた小島令子と結婚。夫婦で“里帰り”を繰り返すようになった。「地平線報告会」には1980年1月の第5回をはじめ、第44回(83年6月)、第66回(85年4月)、第151回(92年5月)に報告者として登場している。
- 099 パキスタン チトラル県ムンムレット谷ブルーア村[1989年5月]
毎年5月中旬の4日間、カラーシャ族の春祭り「ジョシ」が催される。初日は「花集め」。子供たちが野辺で黄色い花を摘み、村に運ぶ。
- 100 パキスタン チトラル県ムンムレット谷ブルーア村[1989年5月]
2日目、黄色い花で村中が飾られ、「乳集め」が始める。女たちが村域の家畜小屋を半日がかりで巡り、歌い踊りながら乳を集める。
- 101 パキスタン チトラル県ムンムレット谷ブルーア村[1983年5月]
3日目の朝、生後1年以内の赤ん坊の「浄化儀礼」が実施される。女神の神殿で母子の背後から聖なる乳をふりかけ、穢けがれを祓う。
- 102 パキスタン チトラル県ムンムレット谷ブルーア村[1989年5月]
宝貝を600個も縫い込んだ帽子、幾重にもかけたネックレス、炭や草で塗る化粧。冬のうちから準備してきた晴れ着で、祭りに臨む。
- 103 パキスタン チトラル県ムンムレット谷ブルーア村[1983年5月]
ジョシの後半の2日間は、歌と踊りが盛大に繰り広げられる。雪に閉ざされた冬が過ぎ、春を迎えられた喜びが、広場に渦巻く。
- 104 パキスタン チトラル県ムンムレット谷ブルーア村[1989年5月]
カラーシャは文字を持たない。踊りの輪の中心では、長老たちが祖先の偉業を歌で物語りながら、歴史を伝承していく。