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■A Day On Earth……地平線カレンダー97・PART I

「地球の1日」をテーマに、夜明けの黎明から薄暮の夕景まで、
地球上のさまざまな場所で撮影された12枚の写真を集め、
それを撮影時刻に応じて1年に割り振ろう――
そんなコンセプトによる企画です。

撮影者には、これまで雑誌などでなかなか発表できなかったような
“ちょっとふつうには使いにくい写真”を提供してください、
という注文を出しました。
おかげで、いかにもあの人らしいものから、えっと驚くような意外なものまで、
地平線ならではの多彩な写真が集まったようです。

(サムネイルをクリックすると、トリミングする前の元の作品にジャンプします。4点ごとに1ページにまとめてあります)



1月…松本栄一

1994年9月・インド。バナーラスの巡礼路にある寺に立つ、シヴァ神の使いの牛の像。

2月…関野吉晴

1995年6月・ペルー。タンボ川上流の自然保護区域に集まるコンゴウインコの群れ。

3月…三輪主彦

1979年6月・トルコ。火山岩が浸食されてできた奇岩が続くアナトリア高原のカッパドキア。

4月…賀曽利隆

1996年10月・オーストラリア。豪大陸最北端ケープヨークにて(右は太平洋、左はインド洋)。



5月…惠谷治

1980年7月・アフガニスタン。対ソ連ゲリラの本拠地であるクナール州の伝統的な脱穀風景。

6月…白根全

1996年2月・ブラジル。アフリカ色濃厚な、旧首都サルバドールの世界最強のカーニバル。

7月…渡辺久樹

1990年6月・オーストラリア。奇勝エアーズロックにて、1歳半の長女を連れた家族旅行。

8月…江本嘉伸

1987年7月・モンゴル。移動用住居ゲルの前で全員が勢揃いしてくれた、遊牧民の家族。



9月…向後紀代美

1996年8月・エクアドル。樹高60mを超す世界的な巨木がそびえるマングローブの原生林。
10月…滝野澤優子

1990年9月・ルーマニア。東欧が激動の時代を迎える直前、平和な農村で出会った犬と少年。

11月…森田靖郎

1988年5月・中国。解放軍の軍用ヘリに同乗して撮影した、敦煌・莫高窟がある鳴沙山。

12月…岡村隆

1986年9月・モルディブ。首都のマーレ島にアジア諸国の援助で建てられた黄金の新モスク。


【編集後記】

●地平線会議のメンバーの写真集を自費出版したいという夢は以前からずっと温めてきたのですが、やはり本格的なカラー印刷にはお金がかかりますから、最初から諦めてしまっていました。それが「Eprint」という、少部数の印刷に向いた新しい印刷方式を使うことで、カラーを使った表現が私たちの手の届くところにやってきたのです。

●日本に導入されて間もないシステムなので、発色や階調の再現性など、まだまだ改善の余地があるようですが、オフセット印刷だとものすごく割高になってしまう50部から200部ていどの印刷が手頃な価格で可能になった点は、おおいに評価したいと思います。とくに魅力的なのが、紙にふつうに印刷するだけでなく、剥離紙の付いたシールやアイロンプリント用の布地転写シート、さらには陶器や金属に焼き付けるためのフィルムなどへもプリントが可能になっていること。Tシャツやステッカー、マグカップ、ステンドグラスなど、今後は楽しい地平線グッズの制作もやってみたいと考えているところです。

●ワープロのおかげで、ちょっとした報告書や旅日記などはすでに手軽に作れるようになりましたが、いよいよこれからは、現地で写してきた写真を自分の力で発表するチャンスが生まれてきます。商業出版とは違った、ユニークな地平線ならではの視点から、出版活動をしていくことも可能になるでしょう。その最初のテストケースとして、この「地平線カレンダー」を作ってみました。貴重な写真を提供してくださった、地平線会議を代表する12人の行動者のみなさんに心から感謝したいと思います。(スタッフ一同)

●発行……地平線会議

●制作スタッフ……長野亮之介+丸山純

●事務局・問い合わせ先……武田力(千葉県松戸市西馬橋1-10-3 〒271)

この地平線カレンダーは、パーソナルデザインショップ〈アイズ〉の協力を得て、新方式のオンデマンドプリンティングシステム「Eprint1000」 を使って印刷されました。