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日本ではほとんど報道されていませんが、チベット高原東部が、この冬、今世紀最悪といわれる猛吹雪と寒波にみまわれ、約20万人のチベット人が住む遊牧地帯に大きな被害を及ぼしています。
最低気温は氷点下45度を記録し、生活の基盤となる家畜が大量に死亡したため、多くのチベット人が飢餓状態にあります。
カム地方(東チベット)とアムド地方(東北チベット)では、
被害状況は今なお悪化しています。
チベット人たちの命を救うため、穀物や茶などの基礎的な食品、火をおこすための燃料、寒さをしのぐための衣類、交通・通信手段の復旧など、緊急の支援が必要です。
"Save the Nomads! Project"は、「Tibet Foundation」(英国)と「チベット発展基金会」(ラサ)を通して、被災地のうち特に孤立した地域への援助を支援すべく、日本での支援金を募る活動をしています。
皆さまの暖かいご支援をお寄せください!
"Save the Nomads! Project" セイブ ザ ノマド プロジェクト |
4月5日付けの朝刊などで大きく報道されたように、この3月20日に日本を出発し、グレートジャーニーの最大の難関と見られていた、コロンビア→パナマ国境の密林越えに挑んでいた関野吉晴さんが、無事パナマに到着した。応援団事務局の野地さんによると、サポート隊のメンバーもみな元気で、現在はパナマ市でのんびりと緊張の続いた旅の疲れを癒しているという。
ここ数年、コロンビアの治安は極度に悪化していて、政府側と反政府ゲリラとの対決に麻薬マフィアまでが絡んでテロや誘拐事件などが相次ぎ、毎月数十人が殺されている。身の代金目当てに外国人が狙われることも少なくない。とくにパナマとの国境に続く密林地帯はゲリラの巣窟となっていて、日本人はもちろん、ここを越えた外国人は数えるくらいしかいないと言われる。この無法地帯をどう突破するかが、7年にわたるグレートジャーニーの旅のなかでも、最大の難関と見られていた。
じつは昨年の11月から、以前ここを北から南に越えたことがある地平線会議の白根全氏(年報編集長)が現地に飛んで関野さんと合流し、役所関係との交渉や情報収集などを通していろいろと可能性を探っていたのだが、ゲリラの動きは相変わらず盛んで、危険な状況はまったく好転していなかった。さらに、乾期が始まったばかりで川の流れが予想以上にきつく、カヤックでさかのぼるのに手間取りそうだったことなどから、12月に決行する予定を川の水位が下がる3月下旬まで延期した。もたもたしていると、それだけゲリラと接触する危険が多くなるからだ。(写真=昨年10月27日の地平線報告会で、殺戮合戦を報じる雑誌を手に、「これが遺影になるかも」などと冗談を飛ばす白根氏。しかし、目が笑っていない?)
今回の密林越えでは、極地探検などでもおなじみのハイテク通信機器が使われ、威力を発揮した。アルゴス(携帯用の位置確認?発信システム)とインマルサット(衛星を使った携帯電話)である。関野さんの位置は1日に6回発信され、その電波をフランスのアルゴス社が受信して解析。さらにその情報が富士通に送られて地図上にプロットされ、応援団事務局に届けられた。そのため、応援団事務局では、だいたい1日遅れぐらいで現在位置を正確につかむことができ、刻々とパナマに近づいていく様子が手に取るようにわかっていたという。パナマで待機していたサポート隊とも、インマルサットを使って連絡がとれ、情報の入手に役立った。
予定どおり、ちょうど1週間で問題の箇所を突破したが、新聞記事でも「ゲリラのことが心配で、精神的に疲れた」と関野さんが語っているように、ふだんの旅とはまったく違った緊張感に、一行はへとへとになってしまったらしい。関野さんはしばらくこのままパナマ市に滞在して、旅の後始末や、とくにかかえたまま出発してしまった原稿書きなどに追われたあと、ふたたび自転車などで北上を続け、一気に中米から北米へと進む予定だそうだ。(丸山純)
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