The Chiheisen News 2017-05

■江本嘉伸さんの『新編 西蔵漂泊』、3月1日に刊行
3月20日には講演会も開かれます。

鎖国状態のチベットに潜入した10人の日本人の足跡を描いた『西蔵漂泊——チベットに魅せられた十人の日本人』(上・下/山と溪谷社)の刊行から、早いもので23年。再版が待ち望まれていた江本嘉伸さんの大著が、このほど『新編 西蔵漂泊』として1冊にまとまり、「ヤマケイ文庫」に収録されました。今日、3月1日から発売になっています。

原稿に全面的に手を入れて、時代順に十人の旅人たちの足跡を並べたため、旧著よりずっとわかりやすくなっているそうです。あの重厚な2冊のハードカバーの本が、1冊の手軽な文庫本として手にできるのは、うれしいですね。ランタン谷にゾモを贈ろうと活動している貞兼綾子さんが「解説」を書いています。

書名:『新編 西蔵漂泊』
著者:江本 嘉伸
発売日:2017年3月1日
販売価格:本体1,100円+税
ISBN :9784635047999
ページ数:528
判型:文庫

〈『新編 西蔵漂泊』あとがきより〉
……本書のもととなった『西蔵漂泊——チベットに魅せられた十人の日本人』は、月刊誌『山と溪谷』に2年3ヶ月連載されたあと、1993年3月に「上巻」、1年後の1994年4月に「下巻」を刊行した。「序章」の「ウランバートルの邂逅」の記述を受けるかたちで、昭和の木村肥佐生、西川一三の時代から書き始め、能海寛、河口慧海の明治時代に遡り、矢島保治郎、青木文教、多田等観そして野元甚蔵と、時代をくだったため、10人の旅人が登場する時代の経緯が多少わかりにくかった面があった。
 この文庫版では歴史の流れに沿って、旅人に登場してもらったため、わかりやすくなった、と思う。
 明治のあの時代、どうしてすぐれた日本の青年たちがチベットを目指したのか。この本が何よりも意図したのは、そのことである。チベットと言うと、すぐ河口慧海の名だけが取りざたされるこれまでの風潮に一石を投じたい気持ちもあった。(後略)
                     2017年2月1日 江本嘉伸

以下のサイトで、書籍の紹介(新旧の目次やあとがきなど)、3月20日開催の講演会などのお知らせもしています。これから少しずつ情報や画像を足していきますので、よろしかったらご覧ください。
http://chiheisen.net/seizo/

[目次]
序章 ウランバートルの邂逅
第1章 帰ってこなかった学僧
 浄蓮寺の碑文/走狗の襲撃/成田安輝の「進蔵」工作/
 明暗を分けたふたり
第2章 『チベット旅行記』の衝撃
 河口慧海の食欲/ラサに入場した四人
第3章 世界一周無銭旅行家
 日露戦争と日本力行会/ダライ・ラマ十三世の苦難/
 矢島の清蔵戦争目撃/矢島、チベット軍の指揮官に
第4章 大正の玉手箱事件
 ラサの四人の日本人/中外日報誌の報道
第5章 ダライ・ラマ十三世の寵愛
 多田等観、はだしのチベット入り、セラ寺の十年
第6章 農業チベットの目撃者
 活仏の思想/新ダライ・ラマのラサ入り
第7章 興亜義塾の青春
 昭和のふたり/下級坊主の日々/「底辺」から見たチベット/
 それぞれの「西北」
終章 地を這う人
夜空のくろぐろとした高原への夢──あとがきにかえて
解説「チベットに魅せられた十人の日本人」の再発見……貞兼綾子
参考文献
年表



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