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地平線報告会でも何度か話していただいた、その足かけ10年にわたる総計約5万3000キロの旅の模様が、ついに『グレートジャーニー全記録』としてまとまりました。南米からアフリカまでのルート上の体験を綴った『移動編…我々は何処から来たのか』と、旅を中断して各地で自然と共に生きる先住民社会を訪れた『寄道編…我々は何処に行くのか』の2部作で、それぞれA5判・本文2段組みで各400ページ近い大著です(『寄道編』にはカラー口絵もあり)。まさに『全記録』と銘打つにふさわしい内容になっています。これまでのように時間軸に沿わずに『移動編』と『寄道編』とに分けた構成の妙のおかげで、他の著作や講演では見えなかったものが浮き彫りになってきたように感じられます。版元は、写真集『グレートジャーニー』全8巻と同じ、毎日新聞社。
なお、表紙の下半分を占める帯、関野さんの本にしては珍しく、タヒチを描いた有名なゴーギャンの絵になっていますが、この絵のタイトルが『我々は何処から来たのか。我々は何者か。我々は何処に行くのか』なのです。関野さんがなぜこの絵を表紙に選び、書名に採用したのか。そこをしっかりと噛みしめながら、グレートジャーニーの成果を味わい、共有していきたいですね。
なお、2003年3月に『南米〜アラスカ篇』が出たまま、長らく待たれていたちくま新書の『グレートジャーニー…地球を這う〈2〉ユーラシア〜アフリカ篇』も、昨年11月に刊行されています。旅の途上、各地で出会った印象深い人々の暮らしぶりを簡潔にまとめたもので、カラー写真も数多く掲載され、ミニ写真集といった雰囲気に仕上がっています。価格も手頃ですし、『全記録』を読む際に手元に置いておくと、あの地平線報告会の感動がまざまざと蘇ってくることと思います。
[丸山]
我々は何処から来たのか…グレートジャーニー全記録〈1〉移動編 著者:関野吉晴 第1章 マゼラン海峡横断 |
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我々は何処に行くのか…グレートジャーニー全記録〈2〉寄道編 著者:関野吉晴 第1章 南米…カワスカルの少女マリア・ルイサ−チリ(プンタ・アレナス)/ウィジチェのカシケ カルロス・リンコマン−チリ(チロエ島) ほか |
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グレートジャーニー…地球を這う〈2〉ユーラシア〜アフリカ篇 著者:関野吉晴 シベリア |
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