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関野吉晴さんといえば、やはりアマゾン流域の先住民、なかでもマチゲンガ族との交流を思い浮かべますが、1981年からのアンデス高地のケロ村との付き合いも深く、のべ12回訪問し、滞在期間は通算12ヵ月にもなるそうです。最寄りの村から2日がかりでケロに到着すると、人々の暮らしぶりがあまりにも伝統そのままで、まるでインカの時代にタイムスリップしたような感覚におちいってしまうのだとか。
この本では、村の一員として迎えられていく過程から衣食住などの日常生活の紹介、農耕や牧畜、交易などのありさま、そして未来に向けた人々の思いまでが、村人とのさまざまな交流を軸に丹念に描かれています。半分以上のページがカラー写真で占められ、写真集としても見ごたえがあります。文英堂の同じシリーズには、庄司康治君の『氷の回廊』や渡辺一枝さんの『バター茶をどうぞ』ありますが、この価格でこれだけの数のカラー写真を収録するという編集方針には、心から拍手を贈りたいですね。[丸山純]
インカの末裔と暮らす
アンデス・ケロ物語 著者:関野吉晴 |