|
1999年3月
1979年9月の第1回から数えて、今回が通算233回目の
地平線報告会となります。
報告者は、早稲田大学探検部OBの庄司康治さん。1980年の最初の旅以降、通算3000日にわたってヒマラヤの旅を続けてきた写真家です。
昨年の12月、庄司さんは『氷の回廊――ヒマラヤの星降る村の物語』(文英堂)という、写真がたくさん入った素敵な本を上梓されました。ヤクの放牧と大麦の栽培で暮らす山奥の村の日常生活と、零下30度のなかを2週間がかりで歩く氷の回廊の旅をていねいに描いた作品で、村の人々と庄司さんとの深い関係がひしひしと感じられる、心温まる物語となっています。
このときの旅の模様は、庄司さんが企画したNHKスペシャル「氷の回廊」として放映されましたので、ご覧になった方も少なくないことでしょう。
ザンスカールの旅だけではなく、カトマンズで暮らした経験や大学探検部の活動として訪れたベーリング海峡やアラスカの旅など、これまでの庄司さんの多彩な足跡も振り返っていただくつもりです。お楽しみに。
以下は、地平線通信232号に掲載された案内です(絵と文・長野亮之介)。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
氷上のキャラバン
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
インド北端、ヒマラヤ山麓に位置するザンスカール地方は、冬季(10〜5月)には雪に閉ざされ、陸の孤島になります。この時期、一番近くの町、レーと、村をつなぐ唯一の通交路はザンスカール川。2月を中心の約1ヶ月間だけ、川は凍り、「チャダル」という氷の回廊に変身します。完全氷結することのないチャダル上のキャラバンは、時に2週間にも渡る命がけの旅。
ザンスカールのリンシェ村に住むタムチョス少年は、97年の冬、チャダルを通って生まれて初めて外界に出かけました。当時12才。なにもかもはじめてです。この旅に同行し、記録したのが、庄司康治(やすじ)さん(40)。1980年にはじめて訪れて以来、ザンスカールに魅せられてきたカメラマンです。旅の記録はNHKスペシャル「氷の回廊」にもまとめられ、好評を博しました。
今月は庄司さんをお招きし、チャダルのキャラバンを背景に見えてきたザンスカールの人々の暮らし、家族の絆について話して頂きます。
☆会 場:アジア会館(東京都港区赤坂8-10-32/03-3402-6111)
☆時 間:午後6時半〜9時
☆会場費:500円
地平線報告会は、どなたでも参加していただけるオープンな場です。
テレビをはじめとする二次的な情報では決して味わえない、
世界を旅してきた報告者の「生の声」を直接聞くために、
毎月第4週の火曜か金曜に、東京の南青山にある
アジア会館(地平線銀座線・半蔵門線・青山一丁目下車)で開催されています。
どうぞ気軽に参加してみてください。
|
|