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98年1月
1979年の第1回から数えて、今回が通算218回目の
地平線報告会となります。
今月の地平線報告会は、1月27日(火)です。今回のテーマは、ベトナムにおけるマングローブ林再生。『緑の冒険』(岩波新書)の著者としても地平線ではおなじみの向後元彦さん(東京農大探検部OB・「砂漠に緑を」代表・「マングローブ植林行動計画(ACTMANG)」代表)を中心に、計8人の報告者が登場し、リレー形式でそれぞれの立場からこのプロジェクトの意味や実態を語ります。
向後元彦・向後紀代美・三輪倫子・長野淳子
中西純一・山田高司(予定)・辻信一・西田研志
(司会・長野亮之介)
日本における里山と同じように、ベトナムにおけるマングローブ林は、人々の暮らしと密接に結び付き、文化を育ててきました。マングローブ林を植林する動きは、単なる緑化プロジェクトというだけでなく、文化の再生にもつながっていきます。この春には、植林に取り組んでいる村で喜納昌吉のコンサートやシンポジウムをおこなおうという企画も進行中だそうです。マングローブをとおして、いまのベトナムの姿がきっと浮き彫りになってくることでしょう。
なお、向後さんは『緑の冒険』(岩波新書)と『海の森・マングローブをまもる――もうひとつの地球環境問題』(大日本図書・児童向け)の2冊の著書があります。興味のある方はぜひ詠んでみてください。
再生の森から
熱帯の干潟に育つマングローブの林は、日本の雑木林がそうだったように、自然と人間の共生の場です。多様な動植物を育み、食料や肥料の採取、薪炭林、建材林、家畜の放牧林、子供の遊び場など、人々の生活にも欠かせない空間です。そこにマングローブ林を背景とした生活文化が蓄積されてきたのです。
しかし今、様々な理由でマングローブ林が減少しています。ベトナムでは戦争が最大の原因でした。ベトナム南部のマングローブ林の半分が、枯葉剤で消失しました。
向後元彦さんが仲間と共にベトナムのマングローブ林の再生に取り組んで、5年になります。同時に、人間と自然がどのようにうまく共生してきたのか、その仕組みを探る試みを続けています。今月はこのプロジェクトに参加した方々においで頂き、ベトナムのマングローブ帯文化の見聞録を気ままに語って頂きます。お楽しみに。
出席者:向後元彦、辻信一(文化人類学)、向後紀代美(社会地理学)、三輪倫子(リフォーム研究)、長野淳子(教師)、西田研志(弁護士)、山田高司(緑化)、中西純一(映像作家)。進行は長のりょーのすけ。
地平線報告会は、どなたでも参加していただけるオープンな場です。
テレビをはじめとする二次的な情報では決して味わえない、
世界を旅してきた報告者の「生の声」を直接聞くために、
毎月第4週の火曜か金曜に、東京の南青山にある
アジア会館(地平線銀座線・半蔵門線・青山一丁目下車)で開催されています。
どうぞ気軽に参加してみてください。
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