|
揺れあとの街音/奥野安彦+土方正志
1996.01.26/アジア会館
●NIFTY-Serve地平線HARAPPAに書き込まれた感想
722 [96/01/27 11:56] PEG00430 丸山:瓦礫の風貌
●●昨日の報告会は、「揺れあとの街音」と題して、この1年、神戸の街を追い続けているカメラマンの奥野安彦さんとライターの土方正志さんに登場していただきました。私は遅れて行ったので後半だけの参加だったんですが、これまでにない、印象的な写真を何枚も見せてもらいました。
●新聞社や雑誌社などのマスコミが撮ったものだと、どうして空撮とか、街全体を見せるとか、事実を伝え、一瞬を切り取るような写真がほとんどなわけですが、奥野さんの写真は、もっと等身大で、撮られる側との長いあいだのコミュニケーションを感じるんです。神戸の人たちの営みがひしひしと感じられる写真だったと思います。
●焼け跡を取材していると、60年住んだ家が全焼して、これまでの写真をすべて失ってしまった男性から、ぜひこの瓦礫の山だけでも撮って送ってくれと頼まれたこととか、話のほうも印象的でした。
●●それに、弥生時代からの古い川や昔の海岸線などを被災地図に重ね、神戸がこれだけの被害を受けたのは、揺れもたしかにひどかったけど、なによりも地盤が悪かったのだという指摘なども、たいへん興味深く聞きました。
●あの、高速道路が根こそぎ倒れてしまった箇所がありますよね。それの空撮と古い海岸線の地図を重ねてみると、元の陸地のほうはちゃんと立っているのに、見事に海の部分だけが倒れているんです。新幹線の橋脚も、昔の川の上にちょうど建っていたところだけが、やられている。つまり、「地盤災害」だったんだそうです。
●●会場で販売されていたお二人の写真集『瓦礫の風貌』(撮影・奥野安彦+文・土方正志/リトル・モア/1300円)を買いました。ソフトカバーの軽い感じの本ですけど、中身は重い。理科室の机を集めて、その上に安置された遺体を撮ったものなど、なまなましい写真もあります。
●しかし、半分近くが、いわゆる記念写真的というか、崩れてしまった我が家や仮設のバラックなどを前にして、ポーズをとっているんです。だから、顔はちょっと微笑んでいます。深い悲しみはあるのでしょうが、なんだか前向きの明るさを感じさせられました。
●表紙の印刷(タイトル文字が立体的に見える)など、デザインもなかなか凝っていて、ひじょうに新鮮な印象があるんです。ぜひぜひ、一度手にとってみられるといいと思います。
受付で吉岡さんの本を売る 三輪さん(左)と毎回報告会を ビデオで記録している新井君 |
出張を利用して熊本からやってきた川本さんが、 NIFTY上のホームパーティで知り合いの 山上さん(左)と、初対面の挨拶 |
|
|