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89年のヒマラヤ・ブロードピーク遠征の手記に、登山家の戸高雅史さん(34)はこう書いています。以来毎年ヒマラヤの山々に「がむしゃらに」挑み続けてきた戸高さんですが、山に対する考え方は2年ほど前から変化してきました。その心境を、「今、僕にとってヒマラヤは宇宙を意識する場所ですね」と表現してくれました。戸高さんと大自然が「調和」した時の喜びを感じるための「場」なのです。
極限の地で、自分の内宇宙と向きあうことで形づくられてきた「登山道」の一段階なのかもしれません。94年12月からはそんな考えのもとに、野外学校FOS (feel our soul)を主宰し、後輩の始動にもあたっています。今年5月からは、 K2に単独アタックの予定。
今月の報告会では、「もしかするとK2は、今までの山登りの区切りになるような気もしているんです」と言う戸高さんをお招きします。意識の変化に大きな影響を与えた、95年夏のブロードピーク縦走・カンチェンジュンガ遠征を中心に、山への思いを語っていただきます。(地平線通信198より転載/取材・文:長野亮之介)
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