★報告会参加者に行程ラインを書き込んだ7枚の手作りの地図が配布された。この日のテーマとなった2000年から2005年にかけての行動が、そこから浮かび上がってくるので記録として添付する。(E)? 00年8月8日〜8月17日 サハリン縦断(1085キロ)
? 00年9月3日〜9月18日 韓国一周(3150キロ)
? 01年5月31日〜6月9日 ソウル−北朝鮮(750キロ)
? 02年6月26日〜8月15日 ユーラシア大陸横断(16000キロ)
? 03年9月25日〜10月4日 中国・北朝鮮国境行(2600キロ)
? 04年9月21日〜10月19日 中国東北部(旧満州 6216キロ)
? 05年10月9日〜10月15日 韓国縦断(1178キロ)
賀曽利隆氏は、全国に熱烈な「カソリック教徒」を持つことで知られる。1月の報告会にも教徒、いや京都からそういうひとり、帰山(かえりやま)和明さんが日帰りで駆けつけた。37才のカソリ追っかけ人に、感想を書いてもらった。(E)
私は現在フリーター。賀曽利さんの“追っかけ”歴はまだまだ15年くらいです。賀曽利さんと言えば、常に世界のどこかで走り続けていらっしゃるというイメージ。報告会を聞きに東京まで日帰りで往復。朝9時過ぎ京都駅を新幹線で発ち、正午前品川着。知り合いが店長をしている埼玉県熊谷のバイク屋さんまで往復してから報告会の会場に早めに着きました。
◆氏を初めて知ったのは、昭和61年秋のバイク雑誌「アウトライダー」でのインタビューでです。「峠越え」の話でした。その個性に強烈にひかれた私は、以後追っかけ人になりました。平成4年には山梨方面でのツーリングを一緒に走らせてもらい、そのパワーを思い知りました。賀曽利さんは林道での走りがとてもスマートで、それでいて速いんです。温泉での行動も素早く、温泉ハシゴの真髄を垣間見ました。
◆カソリさんの著書を28冊持っています。(ただし、何故か実は殆ど読破できていません)。カソリさんの印象を一口で言えば「人を明るくさせるプロフェッショナル」でしょうか。ほんとに生きる元気を分けてもらう、という感じです。そして、旅することの素晴らしさを教えてもらいました。定期的な日本一周を賀曽利さんは計画されました。私には到底無理としてもせめて休みの日ぐらいはツーリングしたい。そのためには、最低限のお金があればよい。「清貧こそソロツーリング」。一人旅というのは非日常、自分の全感覚、全知識を総動員し行動するという総合的な人間の能力を問われるものであると思います。賀曽利さん曰く「孤独と闘い、孤独を楽しむ。そして、行く先々のひととのふれあいを大切にすればソロツーリングも10倍も楽しくなる!」「郷に入らば郷に従え」=「一番面白い旅は、現地食を喰うこと」・生涯旅人、もっと自由に・もっと遠くへ。
◆温泉のカソリ、峠のカソリ、食文化研究家のカソリ、美人評論家のカソリ、…さらに肩書きは増えていくことでしょう。人間、その気になれば、なんだってできる。夢に向かって、突き進んでいる時は、自分の持っている力以上のものが出てくる。そんなことを感じながら、22時50分発の夜行バスで新宿を出ました。二次会も、喉から手が出るほど行きたかったのですが、翌日は朝から勤務だったので。
◆最後に、もしスペースがありましたら、14年前の「オートバイ」別冊 のあとがきにカソリさんが書いたことを引用させてください。
「ツーリングの毎日ほど、心をときめかせる日々があるだろうか…。一日として、同じ日はない。ツーリングには、判で押したような、決りきった一日はない。バイクを走らせる日々は、朝起きてから夜寝るまでが、ドラマの連続だ。予期しないことが、次々に起こる。自作自演のドラマを目の前で見ているようだ。いや、つくりごとのドラマなんかより、よっぽどおもしろい。行った先々では、大勢の人たちと心をかよいあわせることができる。見ず知らずの人たちと…。ライダー同士の出会いも多い。人間って、こんなにもすばらしいものだったのか…ということが、よくわかる。いろいろな生き方をした、いろいろな人たちに出会うと知らず知らずのうちに、生きる自信が湧いてくる。冷たい雨に打たれながら走る辛さ…、一晩の宿がみつけられずにウロウロする時の惨めさ…、山の端を赤々と染めている夕陽が落ちていく時の悲しさ…、冷え冷えとした大地の上でシュラフにくるまり、寒さに震えながら眠る時の寂しさ…。でも、それがいいんだ。雨があがり、陽が射して来た時の喜び。やわらかな布団の上でゆっくり眠れるありがたさ。あたり一面を金色に染め、朝陽を見る瞬間の気力の充実。旅先で出会った人と心ゆくまで話した時の満ちたりた気持ち。辛さや惨めさ、悲しさ、寂しさを乗り越えながらバイクを走らせていくと、いつのまにか自分が強くなっている。それも、ねばりけのあるしなやかな強さだ。他人の喜びも、悲しみもわかってくる。ツーリングに旅立って、自分の心が変わったのだ。自分の心が、いつのまにかやわらかくなっていることに気がつく。心底の欲望が物欲だって?名誉欲だって?そんなのウソだ、人間の限りない欲望といったら、遠くに行ってみたいという欲望、それしかないよ、と、いいたくなる。このままずっとバイクで走っていきたい!」
…私は、この文章を読む度に、目頭が熱くなります。(帰山和明 2月11日京都発メール)
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