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●地平線通信252より
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長野亮之介 |
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◆10月はいろいろと記念すべき事が目白押しの報告会であった。まず、9月の報告会in伊南村での地平線オークションの収益によって購入された世界一のプロジェクターの初お目見えであったこと。一流企業の会議や学会などでも活躍している、暗闇でも赤い点でスライドを説明できる優れ物レーザーポインター付きなのだ。報告の最中も、江本さんは「俺もアレ使ってみたい…」と何度となくつぶやいていた。報告者江本嘉伸氏のポインターを駆使したスライド報告会近日中に公開予定?。と、まずはオークションの成果を、ご協力いただいた皆様へご報告。
◆さて、報告者は、20年間、地平線通信の次回報告者の似顔絵を独特のタッチで描き続ける長野亮之介画伯。北海道大学で林学専攻。画伯の瞳には原生林の神秘が秘められている。普段は報告会の前説係のあごひげ渋いハンサム兄さん。多分、本人は自分がどんなにハンサムで、女性のあこがれの的であるか! なんてことは全然気にしていないだろう。彼の興味は、木炭の活用法であったり、山林の間伐であったり、自然食だったり、ひたすらナチュラルで自分の気持ちいいことは何か? ということにあるのだから。学生時代のアラスカ・ユーコン川イカダ下り、モンゴルでのゴルバンゴル計画の料理人など僻地キャンプ生活での活躍、東南アジアや南米でのマングローブ植林活動etc.。イラストだけでなく、肉体を駆使して大自然相手の活動に関わっている。といっても本人いたってのんびり屋さん。大手新聞での連載、本の挿絵など活躍の場がメジャーになる一方、「やってて楽しいから」とお米や野菜、お酒の現物支給でも仕事を引き受ける。そんな画伯の関心はやっぱり樹木。林業雑誌の表紙をイラストで飾り、林業家を取材した本文も好評連載中。長野画伯は、私にとって環境関係の取材の知恵袋。とっても頼りになる兄貴分。林業を生業にしてなくても、画伯のライフスタイルはいつも「林業がんばれ!」というエールを感じる。
◆報告の舞台は、ヨーロッパ。森林を愛す男4人、2週間レンタカーで4千kmのバイオマス実地視察の旅。バイオマスとは「太陽の熱を植物で固定したもの」を利用すること。朝から晩まで、車窓を眺め、目に付いたバイオマスを追いかけての飛び込み視察。ウェールズの田園にひろがる生垣・ヘッジ、イタリアの薪ストーブ、スイスの山小屋を飾る薪、ドイツの森林墓地。画伯にとって初めてのヨーロッパ体験は、森林と人間の関わり方に「デザインや生き方の面白さ」を見出す旅だった。観光客なら気がつかない緑の山肌の細い鉄線。その正体を確かめに山に分け入り、木材を搬送するためのヨーロッパ式の野猿(とんねるずのグループではない)を発見。山の上から延々と経由し、ローテーションで薪を切って搬送していることを突き止めた。煙突を見れば、家のドアを迷わずノック。暖かい歓迎を受けて入った家の中には、伝統的なピザ窯、パン焼き窯、おしゃれな薪ストーブ。燃料効率を考えたペレット製造。日本では、まだまだ需要は低いそうだけれど、地方産業としての可能性を秘めている。日本では使わないような廃材もイギリスではおしゃれな壁になる。子供の頃、「日本などアジアの国は自然との共生を考え、欧米は自然を支配することを考えて街を作った。」と習ったけれど、現在の状況からするとどうだろう。
◆東南アジアでは原生林がどんどん伐採され、モノプランテーションにとって変わられ、自然との共生生活は追いやられている。日本でも林業は斜陽なのだ。 21世紀を目前にヨーロッパ諸国は積極的に自然との共生の可能性を模索している。瞳に森をもつ男・長野亮之介が見たヨーロッパは、画伯の創作に今後どんな影響を与えるのだろう。まずは今回の視察をまとめ、バイオマスをわかりやすく説明した画伯の絵本の出版に乞うご期待。会場で公開した旅のスケッチブックもいつか出版されるといいなぁ。
◆林業への思い入れがスパークし、緊張しまくりだったという画伯の報告は、「画伯の旅人生と森との関わり」トークを期待していたファンにはご不満の声もあったみたい。でも、私は、普段の温厚で多趣味の亮さんは、毎月のイラストからも感じられるから、バイオマスをなんとか皆に伝えようとがんばる姿のほうがカッコ良くて、森へのこだわりがにじみ出ていて良かったと思いました。可愛かった頃の自分の写真をスライドに入れてくれたから誉めてるんじゃないんだけどね。[狩猟シーズンの11月、タイガが恋しい山本千夏]
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