地平線会議の最初の趣意書

趣意書 日本列島そのものを含め、地球上を歩き歩きまわる日本人が、いまほど積極的、かつ広範囲にその軌跡を描いている時代は、なかったでしょう。たとえば、352万人。昨年1年間に海外へ飛び出した、日本人の数です。渡航が自由化された39年当時、12万人であったことを考えると、これは、大きな変化であると言えると思います。  一つのエクスペディション、一つの冒険の旅を出すために、しばしば何年がかりの手続きを必要とした十数年前までと違い、人々はかろやかに島国から飛び出していきます。パッケージ旅行で何かを発見する人、極地に住みついたまま帰っていない人、ラクダの背で砂漠を横断する人、いかだやカヌーで大河を下る人……。思い思いの発想と目的で、ユニークな地球体験の時代がこの日本にはしまっていると、われわれは考えます。
 そうした状況を背景に、「地平線会議」という名の運動体を発足させました。日本人の探検、冒険、手作りの地球体験をできるだけ知り、可能ならばその行動の軌跡を記録にとどめておく。そして、関心のある多くの人々のコミュニケートをうながし、これから飛び出そうとする人たちに何かを還元してゆきたい。それが大ざっぱに言った発足の趣旨です。いろいろなことをしたい、と考えていますが、何よりも運動を展開するわれわれ自身、何かを学ぶ場所にしたいと思っています。
 具体的活動として、次のようなプロジェクトをすでに発足させました。

◆地平線放送の開局
放送といっても、受信専用電話を利用した、一種のテレフォン・ニュースです。海外体験の紹介や、面白い冒険の試み、集会の知らせ、仲間の近況、たずね人その他、あらゆる種類の情報を2分30秒のテープに盛りこんています。内容は、1週間から10日おきに変え、同じ時期に2種類以上のプログラムを時間わくを変えて流すこともあります。ナンバーは03(8XX)9918。是非ダイヤルしてみて下さい。
◆地平線会議報告会の開催
世界各地でユニークな地球体験をしてきた人を講師に迎え、毎月1回開く集会です。場所は、東京・青山一丁目のアジア会館(03-3402-6111)で。日程と内容については、その都度「地平線放送」て連絡します。会費は、500円。主催者も含め、皆がともに学ぶことのできる、一種の自主講座と考えています。
◆探検、冒険年報の発行
一年ごとに、日本人の価値ある地球体験をまとめます。これは、国内外を問わず、分野もあらゆる方面に広げて考えるつもりです。外国人による世界的なイベント、行動記録もある程度併記し、その1年をあらわす、貴重な行動記録としたいと、思っています。
◆地平線通信の発行
毎月1回、ハガキの便りです。集会の案内など、「放送」の補佐役として、地平線会議の活動状況を伝えるでしょう。

 その他地平線新聞の発行など、さまざまなことを考えています。

 とは言っても、活動を長続きさせてゆくためには、多くの方の協力が必要です。
 趣旨に賛同し、一緒に動いてくれる方、あるいは、情報を寄せてくれる人の連絡を待っています。連絡先は、当面左記の6人。

 伊藤幸司/江本嘉伸/岡村隆/賀曽利隆/宮本千晴/森田靖郎

 会議運営委員として、地平線会議では、ひとり1万円のカンパを受け付けております。協力して下さる方は、是非お願い致します。
 口座は、富士銀行四谷支店 85963x。連絡のうえ、振り込んで下さるか、世話人に渡して下さい。

              1979年11月20日
              地平線会議
              〒183 東京都府中市新町X-X-XX 宮本千晴方
(この下に、79年11月20日現在の40名の世話人の名前が並んでいます)
 
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